【ニュース・中国】わが国の本科高等教育機関におけるオンライン教育の質と評価、並びに提案 (6)

 
2.学生の高い情熱、主体的学習が学びの質を保証

 
出席率が高いほど、適応性も高い。
 学生のオンライン学習に対する情熱は高く、学習状況も良好である。サンプル調査の対象となった34校の学生の平均出席率は92.85%、
うち平均出席率が95%以上だった学校は7校、90%以上95%未満が4校あった。この結果から、学生のオンライン学習に対する自覚は強い。
情熱も非常に高く、学生の学習に対する高い自覚と強い知識欲が見て取れる。オンライン教育という新たな形式・新たな場面に対し、
若い学生は新しい物事を受け入れやすく、高い適応性を示している。調査の結果、87%近い学生がオンライン教育環境にほぼ適応して
いると回答しており(図3を参照)、教育内容の理解度と学習効果に関しては多くの学生が良好であると言える。



図3 学生のオンライン教育に対する適応度

自己管理と自主学習。
 多くの高等教育機関が、新型コロナウイルスの感染拡大防止を契機に、「自主学習」を主な特徴とする「学習革命」を推進している。
時間も場所も問わないオンライン教育の優位性を十分に生かし、事前にオンラインで学習資料・学習ノルマ・思考問題・ディスカッション
テーマなどを提供しておき、課題と練習問題を牽引役に学生の自主学習を誘導する方式である。調査の結果80%を超える学生がオンライン
教育を通じた自主学習能力の育成に賛成しており、37%の学生が非常に賛成であると回答している。学生は大部分が自主学習を歓迎し、
受け入れており、教員に積極的に協力して様々な形式の自主学習を行っていることが見て取れる。

 
コミュニケーション好きほど、満足いく効果が得られる。
 調査の結果、学生は教員やクラスメートとのオンラインの様々な形式を利用したコミュニケーションを好んでおり、授業中も積極的
かつ主体的であり、大部分の学生が積極的に意見交換やディスカッション、質疑応答などのコミュニケーション活動に参画できている
ことが分かった。97%以上の学生がオンライン教育のデザインと計画に満足であると回答しており、96%近い学生がオンライン教育全体
に対し満足であると回答している(図4を参照)。大部分の学生は学習進度についてきており、オンライン学習という方式にほぼ適応し、
自身のオンライン学習状況に満足しており、なおかつ学習目標に到達できていることが分かった。



図4 学生のオンライン教育全体に対する満足度

オンライン教育の品質向上のための対策と提案
 新型コロナウイルス感染拡大防止の必要性から、中国の高等教育機関は大規模なオンライン教育をスタートさせた。これは各種
高等教育機関にとって、試練でもありチャレンジでもあるが、同時に新時代の教育改革を進めるチャンスであり、感染拡大が収束した
暁にはオンライン教育も自ずと高等教育における重要なフィールドになると思われる。現時点でのオンライン教育状況に対する調査に基づき、
オンライン・オフライン混合のブレンド型学習を推進し「一流科目」を打ち立てるなどの観点から、
本稿ではオンライン教育の品質向上のために以下のような対策と提案を行いたい。
 

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育