【ニュース・フランス】2017年Irène Jolio-Curie賞:3人の女性研究者が表彰される

 
第16回Irène Joliot-Curie賞がAcadémie des Sicences会員のCatherine Cézarskyが審査委員長を務め、3人の女性研究者、Nathalie Palanque-Delabrouille, Hélène Morion、そしてAline Gougetを表彰した。
 
2001年、研究省によって創設され、2004年、Airbus社が支援を始めたIrène Jolio-Curie賞はフランスの研究技術分野における女性の地位を高めることをめざしている。この目的のために、卓越性とダイナミズムをもち合わせた女性科学者の模範的なキャリアに光を当てている。
 
2011年以来、フランス科学アカデミーとフランス工学アカデミーが審査委員会構成の任に当たっている。
 
Nathalie Palaque-Delabrouille:今年の女性科学者賞
公的あるいは民間研究において、研究成果が国内、あるいは国際的に知られた女性科学者を顕彰する。副賞として40,000ユーロが与えられる。彼女の研究テーマ、「宇宙のよりよい理解のための研究」に対してFrédérique Vidal高等教育・研究・イノベーション大臣から賞が渡された。
 
Chicago大学とParis7 Denis-Diderot大学との共同指導の下、CEAで行った宇宙論に関する研究で博士号取得したNathalie Palanque-Delabrouilleは、EROS(Expérience pour la Recherche Objets Sombres:暗黒物質探査のための実験)に取りかかり、さらにチリの天体望遠鏡で長年にわたり数百万の星の観察を行い、ついで、大洋の海底で宇宙ニュートリノの軌跡を観測することで宇宙のもっとも激しい現象の謎解きのためのANTARES計画などで仕事をし、宇宙とその歴史、構成に関するよりよい知識を得るための研究を行ってきた。
 
その研究成果は230編の論文となり、その引用数は18,000に上っている。これまでにも、彼女にはフランス外務省からLavoisier賞(1992年)、フランス物理学会からSaint-Gobain賞(1997年)、Lyon科学アカデミーからThibaud賞(2010年)が授与されている。
 
Hélène Marion:若手女性科学者
生物多様性のモデル化に対して授与。生物学者、コレージュ・ド・フランスの名誉教授、科学アカデミー会員で、Irène Joliot-Curieの息子であるPierre Joliotから贈られた。副賞15,000ユーロ。
 
数学者で環境発達学のDEAを収束し、環境毒物学に関係する実験中心の論文で2005年学位を得た。彼女はポスドクを米国で行い、生物多様性という今日でも話題を集めるテーマに取り組んできた。
 
2010年、彼女はCNRSに入り、Ecole Polytechniqueの応用数学センターで、「ANRエクセレンス・チェア」制度を使って、若手研究グループを率いている。2014年、ERCのファンドを得て高等師範学校生物研究所の若手チームを発足させた。2015年CNRS銅メダル賞を受賞。
 
Aline Gouget:女性、研究者・企業賞
この賞は企業で、あるいは企業を興し、研究開発に携わる研究職で科学技術に関するイノベーションを進めた女性に贈られるものである。先進暗号学とその産業応用の研究に対して授与。Airbus HelicoptersのGuillaume Faury社長から賞が贈られた。副賞15,000ユーロ。
 
純粋数学修士と理論情報学DEAを取得し、Aline Gougetはこの15年間、研究、スタートアップ、企業に携わってきた。大学研究室を経て、Crypto Expertsの立ち上げに参画し、3件の特許を取得した。2年間のスタートアップを経て、Gemaltoに入社し、事業遂行のみならず、イノベーション活動も行った。2013年から同社セキュリティー研究所先進暗号学の責任者を務めている。
 
2017年11月20日
 
Prix Irène Joliot-Curie 2017 : trois femmes de science récompensées
 

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