【ニュース・フランス】量子計画の中心となるフランスの研究

 
2021年1月21日、ナノ科学とナノ技術センターにおいてマクロン大統領は、国の産業と研究の力を統一し、フランスを量子技術分野の先進国を
目指す量子計画を発表した。アルバート・アインシュタイン氏とSerge Haroche氏は、スピントロニクスと空洞中の量子電磁気学を発展させ
ノーベル賞を受賞、Alain Aspect氏は、量子もつれとAtos社の量子シミュレーターのパイオニアとしての業績によって国立科学研究センター
(CNRS)
賞金賞を受賞している。
 

フランスは、量子技術の分野において秀でた力を持っており、国際競争において重要な役割を担おうとしている。そのため、エマニュエル・マクロン
共和国大統領は、偉大な量子計画の発表を行った。これはフランスの科学共同体が強く待ち望んだものであるが、衛生と経済危機によって、
長く発表が延期されていた。
 

このプランの骨格はPaula Forteza議員から提出されたが、その基はCNRSのLordanis Kerenidis研究員とSafran社の前社長Jean-Paul Herteman氏
のレポート
である。このレポートでは、まずフランスの研究の素晴らしさが述べられており、同時に投資において遅れをとっていること(特に産業へ
の移行)が述べられている。そして「野心的国家計画」を定義する37の政策が提案され、そのうちいくつかは採択されている。

 
2018年に発表された人工知能計画と類似して、量子計画では、研究を進めるための活動が示されている。産業と教育のための第4回未来の投資
プログラムと「再開計画」による財政支援は18億ユーロにのぼる。「集中的研究開発の努力により、今から5年以内に市場に参入する可能性のある
技術を明確にさせる必要がある。」とCNRSの量子技術のミッション担当で政府主導の任務グループのメンバーであるSébastien Tanzilli氏は
述べている。

 
暗号コミュニケーション、拡張計算能力など戦略的な課題は多く、この計画では高等教育・研究・イノベーション省だけでなく、軍事・経済省と
財政・復興省も取りまとめを行う。「量子分野は「領域の未来」と「市場の鍵」であり、戦略の加速と研究において期待される進歩と緊密に関係する。」
と科学と情報とその情報科学・インタラクション研究所(INS2I)局長補佐のOlivier Cappé氏は述べている。

 
これらの目標のために計画では、将来の量子システム(特に先端低温素材)実現に必要な「アビリタント」と呼ばれる技術や量子技術の分野において、
国の推進力を構築
する。「量子技術はまだ大半が基礎研究である。」とSébastien Tanzilli氏は述べている。

 
こうした点から、政府は国内の3つの関係機関を戦略決定に参入させる。「フランス全土に存在する研究所の特性と、その基礎研究とイノベーション、
技術転換とを繋ぐ学際的なアプローチにより、CNRSは未来の量子技術の課題に応えるフランスの大きな切り札となり、国際競争レベルにおいても
フランスをトップに押し上げることが可能となるだろう。」と研究員は述べている。
 
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CNRS: La recherche française au cœur du Plan Quantique

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究