【ニュース・フランス】科学における女性と女児の国際デー2018

 
科学における女性と女児の国際デーは2017年を彩った女性科学者に立ち返り、将来に向けて科学と社会を考える機会である。どのような性的ステレオタイプをも超えて、世界中の女児が科学を駆使して、創造、探求、変革をすることができ、研究者やエンジニアをめざす者に、もはや障害は存在しない。
 
観察
毎年2月11日に祝われ、女性と女児の科学の世界への完全に平等なアクセスと参加を促進するために、科学における女性と女児の国際デーは2015年に国連総会で採択された。
 
その設立はつぎのような観察に基づいている。科学、研究、そしてものごとの決定という点で女性は除外されている。
 
ユネスコ統計局(UIS)によると、世界の研究者の30%未満が女性である。科学、技術、工学、数学(STEM)の分野では、大学レベルでも研究レベルでも女性は依然として不十分である。女性の存在が認められる科学分野においてさえ、政策や企画立案における意思決定レベルでは不十分である。
 
この観察から、女性の科学分野へのアクセスを妨げる態度の是正が必要である。そのためには、高等教育・研究・イノベーション省はさまざまな方策を実施する。表彰、展示会、科学・技術・産業文化の普及と促進である。
 
2017年科学の女性の旗の下で
11月は女性で初めてノーベル賞を受賞したMarie Curieの生誕150年を祝った。彼女はまた、1903年に放射能に関する研究でノーベル物理学賞を、1911年にラジウムに関する研究でノーベル化学賞を受賞したただ一人の人物である。彼女はまた、フランスの大学研究所で、女性で初めて所長となり、そしてソルボンヌ最初の女性教授でもある。
 
2017年11月はまた、類い希な科学者 Françoise Héritierが亡くなった悲しい月でもあった。彼女は、社会人類学研究室の長としてClaude Lévi-Straussの後を継ぎ男性優位の形態の性質と様式に新たな光を投げかけて、男女差の考えをがまん強く構築した。
 
さらに、11月、科学における特筆すべきことは、Collège de Franceの教授で、Institut Curieの遺伝学・行動生物学部門のディレクターで、エピジェネティクスの世界的スペシャリストであるEdith Heard氏が、X染色体の不活性化とその過程での核組織の役割を調節するメカニズムの一部を解明し、その成果に対してInsermグランプリ2017が授与されたことである。
 
この偉大なヨーロッパの科学者の模範的な決意を示したEdith Heard氏は、2019年1月から欧州分子生物学研究所(EMBL)の長に任命されることとなった。
 
6月には、1995年からAix-Marseille大学のMarseille数学研究所長であるRaphael Herbin氏は、技術面、治療面、そして社会面で、傑出した学術研究を顕彰するCNRSのイノベーション・メダルを受賞した。偏微分方程式の数値解析のスペシャリストであるRaphaèle Herbin氏は数多くの技術的、社会的なスピンオフを伴うモデル化と数値シミュレーションの革新的なアルゴリズムを開発した。これによって、複雑な数学的方程式を解くことで世界理解を深めることができる。
 
Irène Joliot-Curie賞:今年の女性科学者を大臣が讃えるとき
第6回IrèneJoliot-Curie賞は、審査委員会(審査委員長:フランス科学アカデミー会員Catherine Cézarsky氏)はNathalie Palanque-Delabrouille、Hélène Morlon、Aline Gougetの3氏を選んだ。

  • 年間最優秀女性科学者賞は、宇宙の知識向上に関する研究に対して、Nathalie Palanque-Delabrouilleに授与された。
  • 若手女性科学者賞は生物多様性モデリングに対して、Hélène Morlon氏に授与された。
  • 女性研究企業キャリア賞は先進暗号学とその産業応用での研究に対して、Aline Gouget氏に授与された。

さらに詳しく知るために
高等教育・研究・イノベーション省が委託したMarie-Hélène Le Nyの展覧会「Infinités Plurielles」では、145人の女性科学者が出展している。化学から天文学、歴史、哲学、航空宇宙まで、若手研究者、教授、エンジニアがもっとも驚くべき研究を語り、世の中の不思議な舞台裏に情熱をもって人々を招く。
 
「女性と科学協会」は去る1月、Paris Diderot大学で開かれたGenera国際デーにおいて、18世紀から現代までの40人の著名な女性科学者に関する一般向けの小冊子が発刊された。この冊子で、同協会はフランスでは男子向けの育成制度とは異なる制度に障害があり、過去には女性科学者の数に限りがあったものの、何世紀にもわたり女性科学者が確かに存在していることを示したいと考えた。この小冊子では、天体物理学-宇宙、生物学-医学、化学、コンピュータ・サイエンス、数学、物理学における幾人かを描いている。
 
2018年2月11日
 
Journée internationale des femmes et des filles de sciences 2018
 

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 研究人材の多様性
顕彰 顕彰
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