【ニュース・フランス】火星の溝は炭酸ガスの氷でできており、水ではない

火星表面で観察される渓谷は、火星の冬又は春に二酸化炭素の氷によって作られたものであり、これまでいわれてきたような液状の水の流れではない。これは2人のフランス人研究者によって得られた研究の結論であり、2015年12月21日のNature Geoscienceに掲載される。

太陽光によって温められた二酸化炭素の氷の下では、激しいガス運動が生じ、液体によって作られた溝に似たものが生じるほど土壌が不安定になり、液状化するということを研究者たちは示した。2000年以来、火星を周回する衛星に取り付けられたカメラによって、数多くの画像が送られてきたが、それによると地球上の山の斜面上に水の作用によってできたものに似た水路や扇状地様のもの、そしてときには蛇行した水路様のものが火星上にあることがわかっている。これらの溝の形成は数百万年前から数年前までにできたものと考えられる。このことから、生命を生むのに好都合な大量の水が今日の火星上に存在するという考えに至る。

溝が形成される過程における水の役割については、最近になってNASAのマース・ルコネッサンス・オービター衛星による写真によって再び、疑問が投げかけられた。それは、水がたとえ濃い塩水であったとしても、液状の流れを作り出すにはあまりに低い大気温度の季節においても、新しい水路の形成が認められたからである。むしろ、新しい水路の溝は炭酸ガスでできた氷(火星の冬の季節に火星表面の二酸化炭素が濃縮されてできたもの)によってできたものと考えられる。

フランス国立科学研究センター(CNRS)2015年12月21日

 

Les ravines de la planète Mars formées par la glace carbonique, et non de l’eau liquide

地域 西欧
フランス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究