【ニュース・フランス】新型コロナウイルス感染症、高等教育での試験の編成

 
 数週間前からの高等教育機関の特別授業により、遠隔講義による教育を受けることができるようになった。このような衛生環境の危機的状況においても、教育を受け続けられるようにするための措置である。生徒の健康と利益を保証し、できる限り良いかたちで今年度の授業を終え、来年度に備えるため、高等教育・研究・イノベーション省Frédérique Vidal大臣は、各機関の自治を守りつつ、高等教育機関の試験の編成に関して次のような取り決めをした。

 
 現在の状況を踏まえると試験内容の変更は免れないが、単純に公平性のために今学期について自動的な成績評価を行うことは、教育の質に関して問題があると言える。卒業試験や入試のような年度末に行われる試験は教育機関の授業の質を保障するものであるが、この状況下では学生の健康を守るために試験内容を変更せざるを得ない。

 
 しかし、成績の自動評価のような単純に公平性を保つ評価方法は、教育の質を保障することと逆行するものである。その意味では、これは本意ではなく受け入れがたいものであるが、出来る限り対面形式の試験をなくし、卒業試験や入試内容を簡素化することが求められる。

 
 すべての成績評価は遠隔での試験や自宅学習の成果に基づいて行うことが求められるが、社会的に厳しい状況にあり、IT環境を持たない学生に対して、十分に配慮して行われなければならない。口頭試験は実施せず、出席が必要な形式の試験は、監督者や職員の支援の下、厳しい基準の規則に則り、学生の安全を保障するかたちで実施されなければならない。

 
 これら制限下の試験は、衛生に関する全般的なガイドラインや将来的な活動再開に関する政府計画に基づいて実施される。先週発表があったとおり、特に「グランゼコール:各分野のエリート養成を目的に設立された高等教育機関の総称(Grandes Écoles)」の入学試験など、出席を要する試験を行わなければならない場合、9月の新学期開始に間に合わせるよう、6月20日から8月7日の間に各学校の責任の下、実施されなければならない。このような危機的状況の当初から、学生の誰一人として将来構想や就職に不利になるようなことが無いよう、高等教育機関は全力で対策をしている。

 
 特にデジタル機器の利用により、全ての教育機関で学業の継続が、教職員、管理チームの支援の下実現している。Frédérique Vidal大臣は、この危機における高等教育機関の様々な人たちの並々ならぬ支援に対し敬意を示している。

 
2020年4月22日


MESRI: Epidémie de Covid-19 : organisation des examens et concours dans l’enseignement supérieur

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育