【ニュース・フランス】希土類元素の流通解析をするASTERプロジェクト

持続可能性を求める世界では、工業生産における必要な資源をどのようにして確保するかは大きな関心事である。ASTER(Analyse systémique des terres rares)プロジェクトとして、希土類元素(埋蔵量そのものは多くとも、偏在している)への依存性、採掘にあたっての課題、さらには生産にからんだ混乱などが、現在進行中である。フランス国立研究機構(ANR)の資金援助を活用して、ASTERはいかにして天然資源を回収し、価値を高めるかを模索している。
ASTERは希土類元素の流通と貯蔵が地理的にどのような分布になっているか、地図を作成している。中国が生産において独占的であり(世界の85-95%を産出している)、輸出規制を行っている。したがって、希土類元素の不足、あるいは人為的要因が特定地域の戦略的な価値に影響を与えるようになった。地殻に散逸しているものの、たとえば、テルビウムは需要が減少したお蔭で、リサイクルを行うことで、もともと不足気味の供給と釣り合いが取れるようになった。一方、リサイクルによっても、需要に完全には応えることができない希土類元素については、責任ある開発(関連した環境破壊のリスクを最小にしながら資源開発をする)を積極的に進めるか、鉱床の残余物から希土類元素を回収する。
このプロジェクトはヨーロッパが希土類元素の産出において、どのような役割を果たすことができるかを示している。すなわち、世界規模のヨーロッパの大企業が産出からその利用にいたるまでのバリュー・チェーンにおいて有するノウハウである。同プロジェクトはまた、フランス、あるいはEUがこのチェーンの一端でエネルギー転換、技術転換を行うべきだったことを示した。それによって、危機を予知・管理でき、ヨーロッパの伝統的な産業である鉱業関連の雇用を長期にわたり確保することができるだろう。地下資源探査と最終製品からの回収という総合的なアプローチにより、環境保護に留意しながら、ヨーロッパによりよい資源供給を保証することができるだろう。
ANRのEcotech(持続可能な生産と環境技術)プログラムの一環として2012年1月に始まり2015年6月に終了したASTERプロジェクトでは、558,000ユーロの補助があった。これは総合化学会社のSolvayグループ、BIO by Deloitte事務所、BRGM、トゥールーズ・ポール・サバチエ大学、LaSalle Beauvais工科大学によって行われた。これらの機関は地下資源管理、化学製品の生産、そして持続可能な開発における専門知識を有している。

URL1: http://www.agence-nationale-recherche.fr/informations/actualites/detail/le-projet-aster-fait-le-point-sur-les-terres-rares/

地域 西欧
フランス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究