【ニュース・フランス】学生の生活状況:主要な改善 2012~2017

Thierry Mandon高等教育・研究担当大臣は、2017年2月22日、サクレーの高台にある学生の食事とスポーツ活動のために設けられた生活の場である、CROUSの新しい建物の落成式を行った。この機会に大臣は学生の生活環境改善のために行ってきた5つの方策に触れた。

 

1.学生の支援と権利への強いコミットメント

奨学金を見直し、より多くの学生が受益者となる
学生奨学金の野心的な改革は2013年から2016年に実施された。最低所得層から低所得層、自活学生、そして中流階級の学生が受益者となった。成功と自立を目的とし、これらの支援は2013年には国からの2億1,600万ユーロとなっている。これによって26万の学生が奨学金の増額を受けている。これは奨学生3人に1人の割合に相当する。
購買力の維持
2012年以来、すべての学生の購買力はインフレに対する奨学金のスライド制、2015年度と2016年度の大学登録料の凍結、2016年度の大学食堂食券価格の安定(3.25€)、学生疾病保険の保険料(215€)(2014年7月10日の法律)によって維持されている。
2016年に設けられた初回就職支援制度(Aide à la recherche du premier emploi:ARPE)は労働市場に参入する低所得層の卒業生に向けられたものであり、2016年には3万人の学生がARPEを利用した。
より行き届いた指導と、より手当てのよいインターンシップ
インターンシップの開発とコーチングに向けた2014年7月10日の法律は毎年、インターンシップを行う120万人の学生・リセの生徒に実質的な進歩をもたらした。その進歩の中でも、新しい権利として、インターンシップの期間を6ヶ月までとすること、企業における時間管理の指導、職員食堂の利用権、企業による交通費の負担などが挙げられ、よりよい結果を生み、研修期間2ヶ月以上のインターンシップでは2013年以来、手当は15%増となっている(法律施行前の436ユーロから、施行後は523ユーロへ)。この施策は60万人のインターンに関係しており、その内、35万人は大学生である。
社会人学生のための新しい権利
2016年1月1日に施行された法律により、勤労学生は最低賃金の少なくとも0.8倍の賃金を得ることが保証された。10万人の勤労学生は2016年には新しいプレミアムを受けることになる。また適切なトレーニングを受けるための休暇制度は就業中の活動の一部として資格試験で修得したスキルを職業訓練の一部として認めてもらうことができる(2017年1月27日の平等・市民の法律に関する29条)。
2.より多くの住宅をよりアクセスしやすく
    2013年に開始された「40,000戸計画」は2017年末までに学生向け住宅を40,000戸建てることをめざしている。2016年末には、すでに 26,840戸の学生向け住宅が完成し、これは40,000戸計画の67%を達成したことに相当する。このうち68%の住居はCROUSによって管理される。さらに15,767戸が2017年中に完成する予定であり、2017年末までに都合42,607戸が学生向けに提供される。
2014年新学期に一般化された賃貸保証金制度(Clé)のおかげで、個人的に保証人を頼むことができない学生も住宅をより容易に借りることができる。2015~2016大学年度には10,300人の学生がこの制度を利用した。
3. 簡素化されたアプローチ
学生生活のための単一ポータル
学生生活のためのポータルサイト、etudiant.gouv.frが学生のための諸手続きを簡素化し、それらの権利へのアクセスを容易にするために2016年初頭に開かれた。このポータルサイトには毎日、20,000人の訪問者がある。また、学生の社会保障書類(DSE)の手続きも容易になった。
また、学生生活を簡単にするために、大学図書館は、平日は22時まで、また、試験期間中は週末も含めて22時まで開館しており、学生や起業家の身分でもアクセス可能とし、さらには国の免状のデジタル証明サービスも行っている。
迅速で容易なケアサービスへのアクセス
2012年以来、5つの新しい大学健康センターが開設した(アンジェ、ニース、モンペリエ、パリ-デカルト、ヴェルサイユ=サン・カンタン・エン・イヴリンヌ)。また、24の大学予防医療・健康増進サービス(SUMPS)がこれらの健康センターで行われた。
この種の活動は継続しており、新たに5つの大学健康サービスが2017年中に健康センターとなる。その目的はすべての学生に迅速で幅広いケアサービスを提供することである。
外国人留学生のためのよりよい窓口
キャンパスでの外国人留学生の受入れと事務手続きを容易にするために、大学での外国人留学生専用の窓口が2017年現在26ある。
複数年の滞在許可証、複数年滞在許可証「人材パスポート」、5年間有効な循環ビザと長期滞在学生ビザ申請の迅速化を行う。
フランスの高等教育機関で、一定条件下(2013年7月22日の法)で、外国語による授業が開発中であり、1,200のマスターコースが英語で提供されている。
4. 障碍者への真の考慮
    障碍をもつ学生が高等教育にアクセスできるということが課題である。2012年以来、年平均15%の増加をみており、2016年現在、障碍を抱える学生は23,257人となっている。大学に障碍者を受け入れるというミッションで、障碍をもつすべての学生が、人的、技術的、設備的な支援を含む支援策(PAEH)を享受できるようになっている。今日、障碍をもつ学生の70%が障碍者を考慮した勉学施設整備による恩恵を受けており、試験のためには80%の学生が恩恵を受けている。
大学ではまた、就職に向けて、障碍学生のための複数年にわたるマスタープランを用意している。30の大学、言い換えると大学の42%は、2016年末現在で、ハンディキャップマスタープランを適用している(この数は2014年には5、2015年には15であった)。
5. モビリティと高い評価を受けた目標の奨励
増加する学生のモビリティ
フランスは2013年に228,639人の外国人学生を迎え入れている。これは魅力という点では4位であり、オーストラリアにつぎ、ドイツよりも上位である。75,435人のフランス人学生が2013年に国外に出かけている。フランスは2013年の学生モビリティという点で世界ランキング6位から5位になった(これはこの時点での全世界の学生のモビリティの2.1%に相当する)。フランスのリーダーシップの下、エラスムス・プログラムの予算は2007~2013年の間に40%増加した。
・2014年に38,600人のフランス人学生がエラスムス+ プログラムを利用したが、2016年にはその数は39,985人となった。
・2014年から2020年にかけて、あらゆる分野で、このプログラムの利用者は600,000人に達するだろう。
学生の関与を奨励し、高く評価
学生は、学生の身分を維持しながら6ヶ月から1年間の休学をすることができる。その取組の一環として、この休学期間に獲得したスキルに単位を与えることができる。

 

2017年2月22日

 

Enseignement supérieur et Recherche:Conditions de vie des étudiants:principaux axes d’amélioration

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
学生の経済的支援 学生向け奨学金
人材育成 学生の多様性