【ニュース・フランス】フランス経済は雇用を生みだしてはいるが、まだ不十分

企業はこの第2四半期に24,100の新規雇用を生み出したが、かろうじて生産年齢人口の増加に対応するだけで、失業は減らない。

 

フランスの雇用環境には改善の兆しがあるのは確かだが、まだ非常に限定的だ。2016年8月12日(金)にINSEE(フランス国立統計経済研究所)が発表したフランスの雇用統計では、24,100の新規雇用が生まれており、これは、同じ第2四半期に消滅した雇用を上回っており、連続5四半期の傾向である。2015年6月から2016年6月の1年間でフランス本土の民間部門で143,300の雇用が生まれており、さらにこの第2四半期には37,300の新規雇用が長引く、工業・建設業界の不況を補っている。雇用環境が好ましいように見えるが、実際には、失業を解消するほどの活況はない。実際、完全失業というカテゴリAの失業者は350万人と相変わらず数多い。人口増加を続けるフランスでは、生産年齢人口は毎年、12万人から15万人、増加している。したがって、毎年15万程度の雇用が官民で生まれなければ、失業者の増加を食い止めることはできない。
そして2015年、ようやくそれが達成できた。昨年、フランス本土で官民合わせて188,000の雇用が生まれた結果、統計資料にもよるが、失業状況は多少落ち着いてきた。失業率については、フランス本土で2014年末に10.1%であったものが、2015年末には9.9%となった。職業安定所にカテゴリAで登録した失業者数は2015年に増加したものの、その数は88,200人と比較的穏やかである。一方、去る1月以降、カテゴリAに登録する失業者数は54,800の減少となっている。
INSEEは2016年末の失業率を9.5%と楽観的な予想をしているのに対して、Unédic(職業安定所とともに失業保険事業を行う協会)はもっと慎重で、オランド大統領が望んでいる50万人の職業訓練計画による、失業率のわずかな低下しか見越していない。しかし、Inseeによれば、年頭からの臨時雇いが停滞していることから、臨時雇いが労働市場の先行きを示すインジケータということを考慮すると、むしろ第2のシナリオに傾くのではないかと考えられる。

 

成長の脆弱性

 

ヨーロッパの他国に目を転じてみると、ポルトガルでは失業率が、第1四半期には12.4%であったのに対して第2四半期には10.8%に減少している。2013年にはポルトガルの失業率は17.5%を記録していた。一方、スペインの失業率は現在20%であるが、経済危機時には25%まで高まっていた。ドイツにおける失業率は6.1%となっている。
フランス経済はもち直しているものの、いまだ脆弱であり、雇用を創出し、給与を押し上げるというサイクルを始動するには至っていない、と Natixis AMのチーフ・エコノミストのPhilippe Waechter氏は述べている。長引く経済危機によってフランスの製造業は大打撃を受けた。実際、企業は2011年から2013年の間、租税と経費の大幅な増加を被ってきており、2017年になってようやくCICE(競争的雇用のための税額控除)と責任協定がこれらの出費を補償することになる。したがって利益率は上昇するが、それを実感するにはまだ、時間がかかるだろう。国際通貨基金は欧州委員会と同様に、フランス経済の潜在的な成長率は軌道に乗ったときでも、わずか1%前後だろうと予測している。しかし、これでは失業は減らない。フランスが経済活性化と潜在的な成長の再建をしない限り、失業数は高止まりするだろうとPhilippe Waechter氏は述べている。

 

Le Figaro 2016年8月12日号
L’économie française crée des emplois. mais insuffisamment

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
その他 その他
統計、データ 統計・データ