【ニュース・フランス】フランス人研究者Emmanuelle Charpentier氏、2020年ノーベル化学賞受賞

 
 Frédérique Vidal大臣は、Emmanuelle Charpentier氏とJennifer Doudna氏の2012年のゲノム編集技術CRISPR-Cas9の発明に対する
2020年ノーベル化学賞受賞を祝福した。この技術によって遺伝子編集の分野に革命がもたらされた。

 
 このような発見は偶発的によるものが多いが、この技術はEmmanuelle Charpentier氏の研究チームによるウイルスの攻撃からバクテリア
を守るCRISPR-Cas9免疫システムの分子メカニズムの理解に基づいている。CRISPR-Cas9システムは、ゲノムの特定の場所でDNAを切断したり、
修復したりするための「分子はさみ」から成り立っている。

 
 DNA修正の道具は前から存在していたが、この新しいシステムは簡単かつ正確で、ライフサイエンス分野の研究共同体に非常に早く利用された
革新的なものである。CRISPR-Cas9により、遺伝子を不活性にしたり、あるいは遺伝子の発現を制御したり遺伝子を改変したりすることが
可能になり、細胞中の分子メカニズムの理解や新たな治療法の開発のための新指針を立てることに活用されている。

 
 CRISPR-Cas9は、1つの遺伝子の変異による遺伝子疾患の治療において大きな希望となっている。この技術は遺伝子治療に適用されているが、
遺伝子の全ての機能を改変・消去・再構築することによって、遺伝子変異による病気の治療に役立つ可能性がある。またこのシステムによって、
癌の新しい免疫治療(CAR-T細胞療法)の開発が進む可能性がある。

 
 Emmanuelle Charpentier教授は、ベルリンのマックス=プランク研究所に病理研究部門を創設し、運営を行っている。そして、スウェーデン
のウメオ大学の教授とフンボルト大学の名誉教授を務めている。

 
 フランスの科学アカデミーと技術アカデミーの一員であるEmmanuelle Charpentier教授は、フランス教育の素晴らしい成果の一例
であるといえよう。そしてアメリカで国際コースに所属した後、スウェーデンとドイツの機関で研究を続けていた。
 
10/7
 


Ministère de l’Enseignement Supérieur, de la Recherche, et de l’Innovation: 
Le prix Nobel de chimie 2020 décerné à la chercheuse française Emmanuelle Charpentier

地域 西欧
フランス
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