【ニュース・フランス】ノーベル医学・生理学賞は抗寄生虫薬に:Inraは動物におけるその持続可能性を研究

2015年ノーベル医学・生理学賞は1970年代に発見された微生物、植物由来の生薬から作られた抗寄生虫薬に対して与えられた。公共サービス機関として、フランス国立農学研究所(Institut national de la recherche agronomique:INRA)はこれらの薬の正しい使い方をガイドするという点で、パートナーまた産業界に寄り添う形で、この30年間この分野に大きく貢献してきた。

 

寄生虫病と戦う3人の科学者が2015年のノーベル医学・生理学賞に輝いた。トゥ・ヨウヨウ氏(中国)が1980年代に着手した仕事が、マラリア治療に効果がある植物由来のアーテミシニンという物質の開発に結びついた。ウィリアム・キャンベル氏(アイルランド)と大村智氏は土壌中から同じく有用な、アベルメクチンという駆虫薬に結びつく物質を発見した。このアベルメクチンから誘導されたイベルメクチンは寄生虫感染症治療に用いられる。

 

動物から人間まで、いきものの健康を守るため

これはあらゆるいきものの健康を守る(One Health)という点で、もともと動物要用に開発された医薬品が感染症の根絶・予防という点で、大きなスケールでヒトのための治療にも役立つということを示している。実際、イベルメクチンは1975年から、消化管に寄生する線虫や家畜動物の皮膚に寄生する幼虫の駆除のために開発されてきた。1981年に商品化されると、この医薬品はあらゆる種類の家畜の健康維持、増進に役立った。さまざまな動物への投与に関する安全性を考慮して、WHOは1987年初めて、河川盲目症(オンコセルカ症)やリンパ系フィラリア症など、アフリカで広く蔓延し衰弱がひどい病気の治療のための投与を許可した。

このようにして、当初家畜向けの医薬品が安全にヒトに投与できるようになった。

 

2015年10月21日

 

INRA:Prix Nobel de Médecine 2015 pour des antiparasitaires : l’Inra travaille à leur durabilité chez l’animal

地域 西欧
フランス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
顕彰 顕彰