【ニュース・フランス】ニューカレドニア大学、学部学生の学位取得率向上計画

 
ニューカレドニアは、地域の特性上教育機関へのアクセスが不便であり、ほとんどの学生が2年生に進級できないという問題を抱えているが、大学生の学業成就への貢献に取り組んでいる。
 
「ニューカレドニア学生の成功への道」プロジェクト(Trajectoire réussite des étudiants en Calédonie :TREC)は、ニューカレドニア大学(Université de la Nouvelle-Calédonie:UNC)と国立研究機構(Agence nationale de la recherche:ANR)の支援のもと、未来への投資の枠組みの中で実施される。
 
このプロジェクトでは、既存のカリキュラムを見直し、南半球と北半球の学事暦の違いを考慮し、2つの修学コースをもつ組織の設置が検討される。そしてこれは、教育課程の第一歩を支え、学業を続けやすくすることを目的としている。2019年6月、ヌメアで行われたこのプロジェクトの最初の会議で、この事例の特異性について焦点があてられた。
 
ニューカレドニアでは、2年生への進級率(2016-2017年度入学の新1年生の進学率が28%)はフランス国内(41%)よりも低く、1年目で学業を辞める割合(43%)がフランスの平均の2倍以上である。ニューカレドニア大学はフランスの大学で、「大学はニューカレドニア独特の組織・研究の必要性に応じなければならない」とするヌメア協定の特異な条件下でミッションを実行することになる。
 
大学では、南半球だけの特徴的な学事暦(2月始業、11月終業)となっている。「南半球のカレンダーは成功への切り札」と示唆する研究・高等教育評価高等審議会(Haut Conseil de l’évaluation de la recherche et de l’enseignement supérieur:HCERES)が着目する大きな特徴は、UNCが既に実験的に行った全1年生への健康診断の普及である。そのために、大学は2017-2022の制定契約に基づき、学部学生の成功を支援する政策に取り組む。UNCの学生は、人種やバックグラウンドが様々である。
 
3年で学士を取得する者は少数であるが、より濃密な教育課程を受けることも出来る。一方、大多数の学生にとって、1年目が大きな困難となっている状況にある。学生が必要していることに応じるため、複数の道筋が既に大学機関によって立てられている。それは、実習や教育において段階的に指導をすること、教育課程の個別化、高校と大学のギャップを埋めること、学生が既に持っている知見を基礎として教育を類型化すること、情報機器の利用を展開すること、学事暦の変更である。これらの方策はTREC未来の投資プロジェクトの出発点である。
 
2019年7月12日
 
TREC : un projet de l’Université de la Nouvelle-Calédonie pour favoriser la réussite en licence et faciliter la poursuite d’études
 

地域 西欧
フランス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
レポート 海外センター