【ニュース・フィンランド】フィンランド教育・文化省が進める大学統合への賛否両論

フィンランド教育・文化省は大学に対し、小さな学問分野を廃止し、大学の強みを分析して特定の科目に特化する方向で、教育課程を改革するよう圧力をかけている。同省は、改革を進める大学にはインセンティブとして2016年包括的補助金から5千万ユーロ(約57億円)を再分配する方針である。
それと同時に、同省は大学統合を後押ししている。多くの都市で、地元の大学と応用科学系大学は連携・協働の可能性を探っている。政府はこれらの取組みに対しても、5千万ユーロの中から資金的援助をするとしている。タンペレ大学、タンペレ技術大学、タンペレ応用科学大学は政府に最も理解を示しており、統合に向けて動き出しているところである。改革の申請書は、国際審査機関の協力を得てフィンランドアカデミーが評価し、その評価に基づいて5千万ユーロが再分配される仕組みである。 
ヨーロッパ研究機構は、今年初めの報告書で次のように警鐘を鳴らす。「特定の科目に特化する方向で行われるフィンランドの大学の再構築は、大学間や社会全体で不平等感を増幅させる危険がある。フィンランドの高等教育機関は階級構造がより際立つ方向に向かっており、遠方地の大学が損害を被ることになる。」
一方、Jukka Kolaヘルシンキ大学学長は、次のように述べる。「国内の40の大学と応用科学系大学に点在する500万人の分断されたネットワークを繋ぎ合わせ、資源の共同利用や分業体制を可能にすることは、フィンランドの高等教育にとって有益だろう。政府の資金援助によって、良い大学が国際競争下で負けない魅力的な研究環境や設備に投資できるようにし、そう促すことが重要である。」
大学改革が専門のIvar Bleiklieベルゲン大学教授は、「広く支持されている考えに基づいた改革の波が押し寄せているが、実際の前提条件や、統合とそれに伴うリストラの結果がどうなるのかは全くわからない。これは私達に課せられた大きな研究課題である。」と述べる。 

 

【出典】
University World News:Academics question pressure to merge universities

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、予算・財政、政策・経営・行動計画・評価