【ニュース・フィンランド】研究開発の危機:過去10年間で民間投資額が10億ユーロ減少

新しく再編成された研究助成機関ビジネスフィンランドのPekka Soini長官は、研究開発分野への投資額の増額を求めており、2019年に次期政権が発足する前に、政府がこの状況に対処すべきであると主張している。
途方もない緊縮財政政策の一環として、政府はビジネスフィンランド及び前身の助成機関の一つであるフィンランド技術庁(Tekes)からの研究開発費を削減した。

 

Soini長官のコメント:

2008年には研究開発の支出で他国に引けをとらない状況であったが、世界金融危機の10年後の2018年にはフィンランドは他国に大きく遅れをとっており、この10年間で公共と民間セクターの両方で研究費が縮小してしまっている。旧携帯電話メーカーNokiaが製品開発に多くの資金を投入していたので、彼らの携帯電話事業の売却決定は、研究費全体に大きな影響を与えた。
ここで懸念されることは、2008年から今日までの間に、研究開発への民間部門の投資がほぼ10億ユーロ(約1,300億円*)減少し、と同時に公共支出も減少していることだ。政府は将来に投資すべきである。研究開発費は投資であり、費用ではないからだ。何らかの業務を支援するための経費と見なされるべきではない。ビジネスサポートプログラムの一環として研究開発費を支出することは誤ったアプローチである。世界的な市場で展開する製品を開発するには、製品開発が不可欠である。Nokiaの成功は研究と製品開発への多額の投資によって支えられたものであった。

 

削減に重点を置くと、それに付随する大事なものまで見失われてしまうことがある。これは次期政府が発足する前に対処されるべきであり、短期的ではなく、長期的な努力が必要である。もし、研究開発費の水準を上げれば、フィンランドが魅力的な投資先であるという明確なメッセージを国際社会に伝えることができるだろう。

*円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記

 

2018年5月24日

 

【出典】
yle UUTISET:Finnish R&D on the ropes:Private investments drop by 1B-euros over past decade

地域 北欧・バルト三国
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