【ニュース・フィンランド】留学生が卒業後もフィンランドに留まる理由(3)

 
人種差別と難しい言語

 
 マティースとカルフネンは、人種差別と習得が難しい言語であるために、移民や留学生にとって生活するのが容易でない土地であるにも
かかわらず、大多数の留学生がフィンランドに留まり、働いていることは注目に値すると述べた。

 
 雇用に対する主な障壁は、フィンランド語の能力とネットワーク(職業的および個人的)である。フィンランドは、2014年にヴェヒター
マイウオームによって知られたように、英語圏以外のヨーロッパ諸国の中で、英語で提供される学位プログラムの最高のシェアを有している。

 
 フィンランド政府は、卒業留学生のフィンランド語の能力の欠如の問題を認めて、学業中の留学生のフィンランド語の能力を絶え間なく
提唱してきた。

 
 しかしながら、ほとんどの高等教育機関や学位プログラムでは、フィンランド語の勉強を限られたスペースのカリキュラムに適合させるのが難しい。
フィンランドでは、学生は1つの言語(英語)で教えられる一方、労働市場は別の言語(フィンランド語とスウェーデン語)を使用している。

 
 「大学と労働市場の言語の違いは、もし両方が同じであれば受けるであろうポジティブな影響を低下させているかもしれない」とマティース
とカルフネンは説明した。
 

ネットワーキングによってアクセスされる「隠された雇用市場」

 
 マティースとカルフネンは、留学生には容易にアクセスできない「隠された雇用市場」というものを挙げる。2017年、雇用経済省は、
フィンランドの雇用者は、しばしば非公式な採用方法を用いて、アルホが見出したように、留学生の就職に不利になる「隠された」雇用市場
を生み出している、と報告した。

 
 政府から非常に望ましいと考えられているにもかかわらず、地方や国内の労働市場への留学生の採用には、環境に結びついた知識と、その文化
への適応が必要であると、マティースとカルフネンは言う。

 
 「概して、学士号の卒業生は、修士号や博士課程卒業生よりも高い滞在確率を持っていた。あり得る説明としては、大学や単科大学の学位は、
本質的により応用が利き、修士課程や博士課程のプログラムよりも、フィンランドの労働市場に卒業生を雇用させることに重点を置いている
ということだ」と、マティースとカルフネンは述べた。

 
 「教育機関の場所に関しては、(フィンランドの)地方の大学を卒業した人は、大都市や首都圏で卒業した人に比べると、留まる可能性が高い
ことがわかった」。「地方の高等教育機関は、比較的小さな町(人口15万人未満)で、冬には気温が零下20ºC以下になるのが普通である」。

 
 「留学生にとって、そのような地域の高等教育機関への入学を選ぶことは、学籍登録以前にフィンランドに滞在する素因が高くなること
を意味するかもしれない。他方、首都や大都市の高等教育機関を卒業する人々は、おそらくフィンランドだけでなく、より広い労働市場で競争
することができるか、あるいは、より多く競争することを目指している」と、彼らは述べた。

 
10月17日
 


<出典> University World News: What makes international students want to stay on or go?

地域 北欧・バルト三国
フィンランド、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 若手研究者育成