【ニュース・ノルウェー・デンマーク】大学が医療イノベーションの成長をリード

ノルウェーでは医療イノベーションに関する会議が行われ、デンマークのコペンハーゲン大学ビジネススクールと保健学科では、経営学と医療イノベーションを組み合わせた新修士プログラムが発足した。これらは、北欧諸国で医療イノベーション研究及び、保健科学と経営学から成る新しい学位課程への関心が高まっていることを示す2つの兆候である。

 

ノルウェー
ノルウェーの医療関係機関から成るコンソーシアムは、ノルウェー社会において健康産業と医療研究が果たす役割の調査に参加し、更なる成長と国際化において障害となるものを見極めようとしている。
以前より、医療研究及び医療イノベーションへの投資は、石油産業を除いた全ての研究開発投資額を上回ることが政府により報告されていたが、最新の見積りはそれを更に上回る。健康に関する民間での研究は、臨床医学を除き主に大学で行われている。また、臨床医学であっても特許は大学で開発されていることがある。
オスロでの会議で、Kristin Skogen Lundノルウェー企業連合会長は、「健康産業は、変化が求められているノルウェー経済にとって、その答えの中心となるものである。高度な研究への貢献や大規模輸出によって、健康産業は非常に大きな可能性を秘めている。」と述べる。
また、メノンエコノミクス(ノルウェーのコンサルティング会社)は、以下のように述べている。「福祉国家としてのノルウェーは多くの問題に直面している。高齢化や癌・認知症などの病気の課題は、今後数十年でさらに大きな問題となり、特に経済面ではここ数年、問題が表面化している。ノルウェー内の他の様々な大規模産業の収益は下がっているが、民間健康産業は成長中の国際市場に乗って国内で有数の産業に発展する可能性がある。また、同時に今後数十年における多くの健康・介護問題の解決策にもなり得る。」
Ole Petter Ottersenオスロ大学長はこの会議に参加し、自身のブログで、「健康産業には、手付かずの巨大な可能性があり、研究に基づいたイノベーションが成長産業に転換されていくことが課題だ。」と述べた。

 

デンマーク
デンマークの主要紙、Jyllands-Postenは6月8日、健康産業はデンマークの経済成長の柱になると報じた。毎年1,000億デンマーククローネ(約1.5兆円)以上の製品を輸出しているとし、これはデンマークの総輸出額の12%に匹敵する。
ブリュッセルで行われた欧州委員会主催の個人向けの医薬品に関する会議の場で、デンマーク製薬産業の重要人物であるPeter Høngaard Andersenコペンハーゲン大学ビジネススクール非常勤講師兼イノベーションファンド・デンマークCEOは、今年の秋にコペンハーゲン大学で医療イノベーション分野における全く新しい修士課程を開設することを発表した。
「このプログラムは、公共の医療従事者・健康産業を対象とし、世界の医療制度の仕組みを幅広く理解することを目指している。コペンハーゲン大学のMaster of Science Innovation in Health Care (MSc IHC)は、世界初の医療イノベーション分野に関する2年間の修士プログラムである。世界の主要大学もこの分野のコース設置に乗り出している。」とAndersen氏は述べる。
また、Finn Valentin同大学ビジネススクール教授は、「デンマークは最高水準の医療制度を持っているが、高齢化と病気に関わるライフスタイルの課題に直面している。一連のイノベーションがこれらの課題に取り組むために必要であり、医療イノベーターに新しいタイプの人間が求められている。この新しい修士プログラムはまさにそのようなスキルを育てるために設計されている。」と話す。

 

【出典】
University World News:Universities lead growth in healthcare innovation

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
社会との交流、産学官連携 産学官連携