【ニュース・ノルウェー】挑戦的人文学研究への資金配分を強化

人文学研究は社会が直面する諸課題の解決に重要な役割を担っていることから、ノルウェー研究評議会(The Research Council of Norway:RCN)は、2022年までに人文学分野への資金配分を研究費全体の3%から5%に増やすことを目指している。

 

この構想は、政府の「ノルウェーの人文学に関する白書(No. 25/2016-2017):The Humanities in Norway」に直接対応するものである。5%という目標値は、今日の研究助成の水準を踏まえると、人文学研究へ配分される研究費が1億7,600万ノルウェークローネ(約25億円*)増加することを意味する。

 

「人文学研究は、社会が直面している主要な課題に対する取組の一部である必要がある。ジェンダーバランスが研究の質を向上させるように、研究分野間のバランスの改善は挑戦的研究の質の向上につながる。この構想を実現するために、我々は2022年における人文学への資金配分総額の具体的な目標値を設定しており、特に白書で強調された特定の分野においてこの改善が見られるだろう。」と、John-Arne Røttingen RCN事務局長は述べている。

 

白書は人文学研究が特に必要とされる分野として、以下を挙げている。

  • 統合、移住、紛争
  • 主要技術の移転
  • 気候、環境、持続可能性

この研究の目的は、RCNにより優先度が高いと設定される研究分野に占める人文学の割合を高めることにある。現在、RCNが行う人文学研究への資金配分の大部分は、個々の研究を対象とした助成制度FRIPROの1つであり、人文学及び社会科学向けのFRIHUMSAM、及び中核的研究拠点を対象とした助成制度SSEなどの公開競争を通じて行われている。研究基盤構築のための助成制度もあるが、課題設定型の助成制度においては、人文学研究は未だ十分に評価されていない。
「人文学研究の拡大が進展すれば、人文学に基礎を持つ研究グループは優先度の高い研究分野に焦点を当てなければならなくなる。我々は広範かつ質の高い助成金申請を求めており、特に人文学の知見を含む学際的な研究計画を支援したい。」とRøttingen事務局長は述べている。

 

*円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記

 

2018年7月2日

 

【出典】
The Research Council of Norway:Increased funding of challenge-driven humanities research

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
研究支援 研究助成・ファンディング