【ニュース・ノルウェー】大学院留学生の受入れ方策の改革を要求

ノルウェー国際教育協力センター(Norwegian Centre for International Cooperation in Education:SIU)は教育・研究省の委託を受け、同国の高等教育機関に入学する修士課程の留学生に関する調査を実施した。

 

調査報告書『留学生の数を増やすべきか、あるいは、質を高めるべきか』では、より戦略的に留学生の獲得を行う必要性、すなわち、各大学やユニバーシティ・カレッジが自ら学生の選抜を行う現行の制度から中央集権的な制度への移行が提言された。
2014年以降、政府の長期的な目標は、“世界で最も優れた学生の獲得” である。  
2016年、教育委員会は、修士レベルでより多くの留学生を獲得するための戦略を策定するよう政府に要請した。
2017年の政府白書によると、ノルウェーでは国外からの学生に対し授業料を徴収していないが、特に英語による修士課程プログラムの実施など、研究や教育に関して多くの要請を受けている。
しかし、今回の主な調査結果では、大学院レベルの留学生の募集過程における、国家レベルでの体系的なアプローチの欠如が指摘された。

 

『同国では、個々の学生を募集するよりも、機関間の連携に基づいて留学生の交流を促進することに重点が置かれていることは驚くにはあたらない。同時に、留学生にプログラムの人数枠を埋めるだけでなく、同国の教育の質の向上に寄与することを求めるのであれば、留学生獲得の方針を策定しようとする政治的意思の欠如が問題である。』と報告書は主張している。

報告書に示された、2014年~2017年の統計の分析結果は以下の通り。

  • 留学生の学生総数に占める割合は3.24%。
  • 2017年に高等教育機関に登録された留学生数は8,644人で、2015年から13%減少。
  • 10人中6人がEU又はEEA域外出身。

国別に減少率が高いのは、ロシア(-43%)、リトアニア(-42%)、イラン(-30%)、インド(-28%)、中国(-26%)である。一方、留学生が増加したのは、アイルランド(+75%)、オランダ(+69%)、フィリピン(+56%)、ナイジェリア(+55%)、ハンガリー(+50%)、米国(+41%)である。

 

ノルウェー国内の状況を見ると、全学生のうち留学生が占める割合は3.2%である一方で、ノルウェー生命科学大学:Norwegian University of Life Sciences(8.6%)、オスロ大学:University of Oslo(5.7%)、スタヴァンゲル大学:University of Stavanger(5.3%)、ベルゲン大学:University of Bergen(4.3%)、トロムソ大学:University of Tromsø(3.9%)など、かなり高い割合を示した大学もある。

 

同報告書では、大学院留学生をより戦略的に獲得するための前提条件は、政治的意思であるとし、『近隣諸国におけるノルウェー留学のためのより積極的な政策は、留学生獲得に向けた競争の激化を意味する。明確な政策なしに、最も優秀な学生を獲得することは現実的ではない。』と結論づけた。
 

2018年4月27日

 

【出典】
University World News:Call for reform of admissions for international students

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
国際交流 国際化
人材育成 学生の多様性