ノルウェーでは“New Public Management”と呼ばれる現在の大学改革に対して、関係者の非難の的となっている。これは、民間的な考え方を公的な分野に導入したことで、大学に学問の自由と自治をもたらしたのではなく、むしろ、新たな形態の中央集権がもたらされ、“質”よりも“量”を重視した指標が導入されたからだ。
具体的な大学改革の一部は以下の通り。
- 大学の統合をすすめ、運営の効率性を担保する。
- 大学理事会への外部人材の登用及び政府による理事の任命により、大学に対する政府の統制を強化する。
- 民間企業の考え方を導入し、大学や学生の影響力を減少させる。
- 学長は選挙で選出するのではなく任命する。
- 法的機関としての政府と大学を統治機構から切り離すが、政府から大半の助成を得る。
- 海外から優秀な教職員と学生を受け入れる。
- 若手研究者を不確定な身分保障、不十分な年金・福利厚生制度のもとでの臨時雇用枠での採用を増やす。
- 業績評価の指標に基づき、組織や団体を対象とした投資の割合を増やす。
- 得られた結果に対する報告と聴取の機会を増やす。
- 論文発表、著書などで優秀な実績を有するトップレベルの教授を、多くの場合、高額な給与、かつ、大学での教育を免除して研究拠点となる機関で採用する。
- 大学ランキングを導入する。
一方、スウェーデンでは、財務省民生担当大臣が、“New Public Management”の時代は終わったとし、2016年2月に、同国の公的部門管理局に対して、行政の公的部門のガバナンスとリーダーシップ体制に関する新たな提案を策定するという使命を与えた。そこには、報告書や提出書類の削減、教職員の能力や経験の重視、信頼関係に基づく、より「全体的かつ効果的なガバナンス」の開発が盛り込まれた。
【出典】
University World News:In search of a new form of university governance