【ニュース・ドイツ】DEALプロジェクトとエルゼビア社の交渉:学術コミュニティにとって受け入れがたいエルゼビア社からの要求

DEALプロジェクト運営委員会の交渉代表者である、ドイツ大学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)のヒップラー(Horst Hippler)会長は、ボンで開催された直近の交渉において、次のように述べた。

「エルゼビア社(Elsevier)から提示された過度な要求により、ドイツ学術機関連盟によって設立されたDEALプロジェクトは、エルゼビア社との交渉を一時中断せざるを得ない。
私たちとしては、三大学術出版社との交渉の目的は、学術論文のパブリッシュ&リードに関する未来志向のモデルを開発することであり、現状、図書館にとって悲惨となる可能性のある学術雑誌の価格傾向に終止符を打ちたいと考えている。また、公的資金により支援を受けた研究成果へ、原則自由にアクセスできるようにするため、オープンアクセスの促進にも取り組んでおり、三大学術出版社は、これを達成するために重要な役割を果たすべきである。私たちは、持続可能なパブリッシュ&リードのモデル、すなわち出版物への公正な支払いと、読者の無制限な購読の実現を目指しているが、しかしエルゼビア社は、オープンアクセス原則に沿った学術コミュニティのニーズに対応し、財政的に持続可能な、ドイツ全国規模での取引を提供する意思はまだない。」

何か月にもわたり、ドイツ全国規模でのパブリッシュ&リードのライセンス実現に取り組んでいる交渉は、世界中で多くの注目を集めている。2017年10月以来、DEALプロジェクト交渉への連帯を示す方法として、多くの著名な研究者がエルゼビア社の編集者を辞任した。さらに、2016年から2017年にかけて、およそ200の学術機関がエルゼビア社とのライセンス契約の打ち切りを選択した。エルゼビア社は、失った収入の少なくとも一部を確保するため、これらの学術機関との契約を継続するための議論開始を希望した。

 

ヒップラー会長は「将来のパブリッシュ&リード契約の枠組み条件に関するエルゼビア社との基本合意が実現するのであれば、ドイツ学術機関にとって2018年後半の暫定的な解決策を模索することに価値がある。しかし、これまでにそのような兆候は全くない。」と述べた。
DEALプロジェクトは、まだ冷静に未来を見据えている。エルゼビア社との契約を終了した学術機関のアクセスを同社が遮断する場合に備え、DEALプロジェクトは必要な予防策を講じた。また同プロジェクトは、学術機関に対し随時進捗状況を共有していく。

 

2018年7月5日

 

HRK:DEAL and Elsevier negotiations:Elsevier demands unacceptable for the academic community

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究