【ニュース・ドイツ】日本の政治学者がフィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞を受賞

 
日本とドイツの文化・社会の相互理解に貢献したとして、ドイツと日本の近代史の専門家である今野元氏に「2021年度フィリップ・フランツ・
フォン・ジーボルト賞」が授与される。

 
今年のフィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞は、歴史学、政治学、法学を融合させた研究活動を行っている今野元氏が受賞する。社会学者
のマックス・ウェーバーに関心があり、日本語訳も手がけている。また、ドイツのナショナリズムにも興味がある。また、君主制に関する比較研究
や、日本におけるドイツ研究の受容に関する研究も行っている。ドイツの専門家と定期的に連絡を取り合い、日本とドイツの政治史学の橋渡し役
として高く評価されている。

 
ドイツでの長期にわたる研究滞在から、伝記研究の方法に関する深い知識を日本に持ち帰り、マックス・ウェーバー研究、ベネディクト16世とカール・
テオドール・フォン・ダルベルク(1744-1817、マインツ大司教、ナポレオン時代にライン同盟の首座大司教侯)の伝記などを執筆している。
異なった言語で科学的に作業する能力は、アーカイブで資料を調査する際に大きな力となる。

 
今野元氏は、名古屋近郊の愛知県立大学で2015年からドイツ政治学の教授を務めており、それ以前は講師、2007年からは准教授を務めていた。
東京大学法学部で政治学を学び、ドイツ政治を専攻した。ベルリン・フンボルト大学(2002年、歴史学研究所)と東京大学(2005年、政治専攻)で
博士号を取得している。日本学術振興会特別研究員、マックス・ウェーバーとポーランド問題に関する博士論文で日本ドイツ学会奨励賞などを受賞し、
ミュンヘンの現代史研究所に長期滞在した。

 
フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞は、伝統的にベルリンで開催されるフンボルト財団の年次総会において、現職のドイツ大統領から
授与される。今年はコロナパンデミックの影響で年次総会がデジタルで開催されたため、この度、7月27日にイナ・レーペル駐日ドイツ大使
から賞が授与された。

 
フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞

 
この研究賞は、1978年に当時のドイツ大統領ヴァルター・シェール氏が日本を訪問した際に設立された。毎年、日独両国の文化・社会の相互理解
に貢献した日本人研究者に贈られており、賞金として50,000ユーロが与えられる。

 
2021年7月21日

 


AvH: Japanischer Staatswissenschaftler erhält Philipp Franz von Siebold-Preis


地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 国際機関レベルの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
顕彰 顕彰
社会との交流、産学官連携 社会貢献