【ニュース・ドイツ】学問の自由に向けての連携:ドイツ学術機関連盟、70年続く基本法へのキャンペーンを開始

 
「学問、研究、教育は自由である。」これは、70年前に発効された、基本法第5条に明記されている。ドイツの学術界は記念日に際し、成果の歴史や成功の見込み、学術の自由への脅威に関して議論し、それに対して生ずる責任について問題提起した。
 
マックス・プランク協会(Max-Planck-Gesellschaft:MPG)によって推進された「自由こそ我々の体制。学問のための連携」は、ドイツの主要な10の学術機関からなる同盟の取り組みであり、一連のイベントやスピーチ、ディスカッションや寄稿意見、研究と教育の独立性の重要性を強調するとともに、学問の自由に対する潜在的な危険に目を向けるなど、自らの発展を批判的に検討している。
 
フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)が、ドイツ学術機関連盟による学問の自由のためのフォーラムと同時開催した、危機的な状況にある研究者のキャリア開発がテーマのイベントが、2019年3月18日に開幕した。この活動は、ベルリンで2019年9月26日に開催される栄誉ある閉会式イベントに繋がっている。この壇上では学問の未来が議論される。一連のイベントは、この活動についての主要な意見交換を反映させた覚書など、学問の自由のためのドイツ学術機関連盟による声明で開幕し、終幕する予定。秋までに、学問の自由についての様々な見地に関する一連のイベントが開催され、ドイツの個人権、法治国家性と民主主義の要件等、世界における研究への制限等のテーマが主題とされる。
 
学問の自由は、常に擁護されるべき基本的権利である。それゆえ、最近の国際的なパートナー間における展開は、懸念の源でもある。ポピュリスト化の流れは、科学的知見や研究領域が段々と疑問視されてしまうような温床にもなっている。同時に、とりわけ「実用的」で、経済的に役に立つ成果をもたらす学問の需要が高まっており、多くの重大な研究課題が締め出されてしまっている。
 
自由な研究を継続的かつ常に新たに可能にするためには、そのインセンティブ・システムも変えていかなくてはならない。たとえば、学術的な出版物の量で外部資金や競争的資金、キャリアが主として決まるとしたら、自由な研究があまり認知されず、そうした研究は出版されにくくなってしまう。特に、公共での複雑な学術的なテーマについての細分化された議論は、フェイクニュースや、閉鎖的な意見を持つ一部のグループの中での議論の偏りといった、ソーシャルメディアの問題を孕む発展によって抑制されてしまう。しかし学問は、気候変動、エネルギー転換、デジタル化、人口変動など、目下、社会全体にとって重要な課題がより複雑化するのに対応するため、有意義な科学的知見を適切に社会へと伝えていくための道具、すなわちよく練られた方法論をさらに必要としている。
 
2019年3月14日
 
AvH: Gemeinsam für die Freiheit der Wissenschaft.
Allianz der Wissenschaftsorganisationen startet Kampagne zu 70 Jahren Grundgesetz.

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