【ニュース・ドイツ】大学間キャンパス:多言語・デジタル・人本位(2)

 
Circle U.:大学間キャンパス-科学と社会のネットワーキング

 
クラウス・ヴィール博士は、フンボルト大学ベルリンにおける欧州大学連合「Circle U」のプロジェクトコーディネーターである。

 
「Circle U の大学間キャンパスでは、社会全体の重要なトピックについて欧州の7大学が国境を越え共に活動している。大学の本業の教育と研究に加えて、Circle U. は、科学と社会のネットワーキングという第三の重要な使命にも力を入れている。目標は、主要な課題として挙げられている現代の課題に対して、科学的な解決策を見つけることである。市民やコミュニティとの交流は、この点で重要な役割を担う。

 
ベルリンにおいて、連合の他の欧州の大学所在地と同様、Circle U. は大学ではないパートナーとの広いネットワークを持っている。これらは会社、アクセラレーター、博物館や NGO を含む。一方、これらのパートナーは、大学の研究プロセスの中に専門知識を提供している一方、現在置かれた社会環境での関与を強めている。そのため、Circle U. での大学間キャンパスは、学生、科学者及び社会との交流のみならず、分野間と大学間の交流を促進することを目的としている。

 
例えば、民主主義や気候変動、グローバルヘルスといったトピックにかかる学際的な「知識のハブ」の中では、学術的背景がある人とない人どちらのためにも共同提案は展開されている。このように、提案は意図的に都市社会から人々にもオープンになっている。例えば、フンボルト大学では「気候変動の実践者」のため研修プログラムを含んでいる。これは、気候危機の解決策を見つけるため、現場の科学者と共に働く政治家や経済界の代表者、活動家を含む。そのような取組の後ろでは、全国や地域で学生や研究者だけでなく、市民やコミュニティから支援されてこそ欧州の大学が成功するという信念がある。パンデミックは今なお市民との交流を難しくしているが、特にベルリンのような科学が強い都市でこのようなプロジェクトは肥沃な土地の上にあるといえよう。」

 
Circle U.

 
Circle U.は、欧州の以下9つの大学で約48万名の学生と3万8,000名の教職員を繋げている。

  • オスロ大学(ノルウェー)
  • オーフス大学(デンマーク)
  • キングス・カレッジ・ロンドン(英国)
  • パリ大学(フランス)
  • ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)
  • フンボルト大学ベルリン(ドイツ)
  • ベオグラード大学(セルビア)
  • ピサ大学(イタリア)
  • ウィーン大学(オーストリア)

ネットワークの目的は、ジョイントディグリープログラムや共同博士課程を持ち、包括的で、研究集約的かつ学際的な欧州のキャンパスを形成することである。その際、Circle U. は気候、グローバルヘルス、民主主義という3つの主要なテーマに優先的に取り組んでいる。焦点は非官僚的モビリティーと大学以外のパートナーとの拡張したネットワークの設立である。プロジェクトは上記のトピック3つの知識のハブを設置する予定であり、そこでは市民が大学と交流でき、研究者と学生が研究を通して共に学べるようになる。Circle U. の使命は、現代の主要な課題に取り組むため、及び健康、平和、民主主義を確実に促進するために、学生、研究者、公的セクターをまとめることである。

 
EURECA-PRO:大学間キャンパス-多言語対応

 
カルステン・ドレベンシュテット教授は、フライベルク工科大学における欧州大学連合の EURECA-PRO のプロジェクトコーディネーターである。

 
「EURECA-PRO は、私たちの連合の欧州パートナー大学との協力、国を超えての大学間キャンパスの会議における戦略的課題として多言語化に特に力を入れている。これは包括的な英語の能力を促進することを含む一方、その国の言語能力も育成することも含む。私たちは卒業生に素晴らしい英語能力を保証し、彼らが第二言語や更なる言語でトレーニングできるような状況を作りたいと思う。フライベルク工科大学とミットヴァイダ応用科学大学は、DAAD のナショナルサポートプログラムを活用し、例えばスペイン語、ポーランド語での教育を推し進めることができるだけでなく、「外国語としてのドイツ語」の言語提供を拡張した。

 
学士、修士、博士の共同プログラムの開発において、学位に関係したコースの提供をパートナー大学での現地の教育言語で行うことで、多言語化は考慮されている。それゆえ、コースカタログは、英語とドイツ語のコースに加えて少なくとも4言語を含み、学生はそれぞれの言語スキルにより選ぶことができる。オンラインを利用すれば学生は外国語が話される場所に行かずとも外国語で学ぶことができる。第二外国語は、共同プログラムにおいて必修科目である。ネイティブスピーカーの活用を通して教育の高い質は保証することができる。EURECA-PRO コンソーシアムで、サマースクールや研究旅行のような短期間のオファーも、受入国の紹介を目的として入学準備語学モジュールに組み合わされている。

 
異なる言語での知識の移転という点において、EURECA-PRO は、教育や研究に携わる大学職員の言語研修を促進する必要性も感じている。この重要な課題は DAAD のナショナルサポートプログラムのおかげで、連合が対処することができる。」


DAAD: Der inter-universitäre Campus: Mehrsprachig, digital und bürgernah


地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 学生交流
人材育成 学生の多様性