【ニュース・ドイツ】多様性と対話のビジョンを共有する:フンボルト・コロキウム・ジャパン

 
11月17日から19日にかけて、150人も日本のフンボルトネットワークの研究者、日本の若手研究者、そしてドイツのアカデミアや政界からアレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)のパートナーや友人らが集まり、バーチャル・フンボルト・コロキウムを開催した。

 
世界第3位のフンボルティアン人口を誇る日本は、フンボルト財団のネットワークにとって重要な国であるばかりではなく、最も革新的で強力な研究国の一つでもある。同時に、人口構造の変化、超近代的で効率的な産業のためのグリーンエネルギー、若手研究者のキャリア機会、トップレベルの研究における女性の割合の向上など、日本は多くの社会、特にドイツが直面している課題を経験している。

 
「世界のトップ研究とフンボルト・ネットワーク:日独科学協力の新たなフロンティア」と題し11月17日から19日にかけて開催されたオンライン・フンボルト・コロキウムでは、日本のフンボルト・ネットワークの研究者、日本の若手研究者、そしてドイツのアカデミアや政界における財団のパートナーや友人たち150名がこれらの疑問に取り組んだ。

 
Hans-Christian Pape会長は、「体制間対立や民主主義・学問の自由への脅威がますます高まる世界において、日本は研究だけでなく、ドイツにとって重要な政治的パートナーである」と歓迎の辞を述べた。また、Clemens von Goetze駐日ドイツ大使も、「日独の研究関係は、私たちの多様な社会関係の中で中心的な重要性を持っている」と強調した。

 
2年間のロックダウンを経て、日独の研究者間の人的交流は再び軌道に乗りつつある。しかし、特に若い研究者の間では、相手国での研究滞在はもはや当たり前のことではなくなっている。参加者の報告によれば、言語や文化の障壁は比較的大きい。英米圏の国々との競争は激しく、特に日本の若手研究者が他国への移動に消極的なのは、パンデミック以降に限ったことではない、とHans-Christian Pape会長は招待された若手研究者たちに直接訴えた。

 
「日本の若手研究者の多くが、海外にキャリアを移すべきかどうかを慎重に検討していることは承知しています。しかし、その多くが、私に言わせればあまりに多くがそれを断念しています。もともとの研究環境が整っているだけでなく、競争の激しい制度の中に身を置く彼らは、海外に出ることがいったい報われるのかどうかと自問自答してしまうのです」とPape会長は言う。「私自身の経験から言えることは、『この一歩を踏み出す勇気を持ちましょう!』ということです。ドイツで我々のところに来て、優秀な同僚と一緒に仕事をし、新しい経験や視野を得る。その価値はあります」とPape 会長は強調した。

 
モビリティの問題や具体的な学術的トピックに加え、日独間の交流の政治的側面も議論された。この中で、東京大学の藤井輝夫総長は、共通の価値観について強調した。フンボルト財団と日本におけるそのネットワークは、対話と多様性が中心的な役割を果たす未来について、同じビジョンを共有していると藤井総長は強調した。ドイツ連邦外務省学術関係・教育・研究政策局のVito Cecere局長は、学術外交の重要性を強調した。「学術交流は政治的な文脈の中で機能する。特に昨今のような時代において、学術、教育、文化、交流が持つ長期的なパワーを忘れてはならない」とCecere局長は述べた。フンボルト財団の日本とドイツにおけるネットワークも、こうしたことに立脚している。

 
このコロキウムは、東京大学、駐日ドイツ大使館、DAAD、DFG、ドイツ語圏日本学術振興会研究者同窓会、「フンボルト・ソサエティ・ジャパン」の後援を受けたものである。

 
2022年11月30日


AvH:Eine gemeinsame Vision von Diversität und Dialog: Das Humboldt-Kolloquium Japan


地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 政府レベルでの取組
国際交流 国際化、研究者交流
人材育成 若手研究者育成