【ニュース・ドイツ】外国人研究者の流動性の妨げの解消にむけて前進

この10年以上、ドイツ学長会議(HRK)は外国人研究者の獲得や留学生のドイツへの入学の妨げの解消に熱心に取り組んできた。そして、連邦教育研究省(BMBF)の助成を受けた5年間のHRKによる「欧州高等教育圏における流動性障害除去プロジェクト(Reducing mobility obstacles in the European Higher Education Area)は、今、終わりを迎えようとしている。
HRKのヒップラー議長によると、粘り強い熱心な取り組みによりプロジェクトは成功を収めているという。そして、流動性の妨げを解消することは、「ドイツのように研究やイノベーションに重点を置く国が、他の国からトップクラスの研究者を惹きつける唯一の方法である」と述べた。
2005年にHRKが欧州委員会の提言による「研究者に関する欧州憲章および研究者の募集に関する行動規範」に署名したことが、この取組みの機動力となった。以来、HRKは社会保障や滞在に関する法律上の多くの問題点にかかる解決策を考案し、たとえば滞在に関する法律については連邦移民・難民庁、外国人局、連邦内務省ならびに外務省とともに取り組み、こうした法律にかかる情報は大学へ提供された。
とりわけ老齢年金に関する問題は、ドイツ年金保険等の年金を扱う公立組織との長年の主題であったが、BMBFが出資する流動的な外国人研究者のための情報ポータル「findyourpension」の例のように、結果的に改善された。
HRKのヒップラー議長は、「BMBFの支援により、長期間にわたる困難な問題に関するプロジェクトに取り組むことができた。たとえば、EU圏外からの高レベルな研究者の滞在に関する状況は、非常に小さなステップを数多く積み重ねることにより改善できたものだ。外国人研究者の滞在に関する法律は、ドイツはおそらく欧州で最もリベラルだろう。過去、外国人研究者は老齢年金の一部を無駄にしなければならなかったが、長期間滞在するのであれば、現在ではよりよい法的環境と助言を享受できる。将来においては、たとえばリサーチ・アシスタントや博士後期課程学生として3年以上ドイツに滞在するトップクラスの若手研究者は、彼らが受ける資格のあるどの退職給付も失うことはないだろう」と述べた。これは、2015年末にEU流動性指令に関して連邦議会で可決された法律によって保障されており、連邦労働社会省のもとで導入されている。ヒップラー議長は、ドイツにおける研究とイノベーションはこれらの輝かしい判断の恩恵を受けるだろう、と加えた。

 

HRK:Obstacles to mobility for international researchers in Germany are crumbling

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 政府レベルでの取組
国際交流 国際化、研究者交流
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