【ニュース・ドイツ】ドイツ研究者国際ネットワーク(GAIN)総会が開催

第16回ドイツ研究者国際ネットワーク(GAIN)総会が、2016年9月9日から11日にかけてアメリカのワシントンD.C.で開催される。当該総会には、ドイツの学術関係者および企業の代表者らと北米で研究活動を行っているドイツ人研究者約300人が出席する予定である。議論の中心となるのは、ドイツにおける研究生活の魅力とその実現可能性を高めることを目的とした、若手研究者協定、学問有期労働契約法およびエクセレンス戦略という三つの学術政策であることが見込まれる。今回の総会に先立ち、ドイツ学術交流会(DAAD)、ドイツ研究振興協会(DFG:Deutsche Forschungsgemeinschaft)およびフンボルト財団(AvH)は、前向きな発展の背景として、エクセレンス戦略、研究・イノベーション協定、高等教育協定 2020ならびに連邦・州レベルの共同戦略の四つを挙げた。
DFGのシュトローシュナイダー会長は、「現在の国の枠組みは幅広い機会を提供しており、最終的には大学自身でどのような形式をとるか決定する必要がある」とし、エクセレンス戦略について「競争を促進させるが、学術システムにとって有益なものである」と述べた。また、若手研究者のキャリア展望に関して、DFG事務総長であるツヴォネク氏は、「エミー・ネータープログラムとハイゼンベルクプログラムに対する統計的評価によれば、かなり多くの受給者が無期雇用ポストを獲得している」と、ドイツにおける若手研究者の展望は全体的に良好であるとした。
DAADのヴィンターマンテル会長は、「ドイツが他の学術的地域と異なっている点は、柔軟で多様な科学的展望であり、新しい研究のアイデアを実現するに適したプラットフォームを提供するような学際的かつ分野間での研究ネットワークを有しているということである。イノベーションの場としてドイツをさらに魅力的な場所にするには、学術界と産業界との透過性と連携が必要である。企業は、若手研究者に対し、大学でのキャリアパスに代わる選択肢の一つとして、興味深くまた信頼のできるキャリアの機会を提供している」と強調した。実際、DAADは若手研究者を支援し、彼らが世界中で学術的、専門的な経験を積めるよう橋渡しをしており、ドイツの高等教育と研究機関の国際化に貢献している。
AvHのシュヴァルツ会長は、「ドイツは若手研究者のキャリア支援のために何億ユーロという額を投資している。若手研究者協定によるテニュアトラック教授職は、アメリカにいる優秀なドイツ人研究者に、ドイツへ戻ることを考えさせる理由の一つになっている」と説明した。また、「特にアメリカにおいてテニュアトラックポジションは競争が激化している一方、数は減少しているため、ドイツへ戻ることの魅力がより増している。しかし、これはポスドクの将来の展望が、ドイツでは途端に天国のようになったり、また、アメリカがすぐに危機的な状況になったりすることを意味しているわけではない。両国とも、最も優秀な研究者でさえチャンスのために競争することが必要であり、学術界でキャリアを積むか、それ以外の場所でキャリアを積むか決断しなければならない。この点においてどのような条件が重要であるか、若手研究者らはドイツとアメリカのどこに違いを見出しているのか、GAIN総会では議論したい」と述べた。

 

GAINについて:
GAINはAvH、DAAD、DFGによる共同プロジェクトとして2003年に設立された。連邦教育研究省(BMBF)の支援を受け、ドイツのすべての研究機関と協力し、GAINは米国とカナダにいるドイツ人研究者間や、カウンターパートとのネットワークの育成と構築に努めている。

 

DFG:Attracting young academics to Germany

地域 中東欧・ロシア、北米
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
人材育成 若手研究者育成、研究者の雇用