【ニュース・ドイツ】ドイツ大学長会議(HRK)のヨーロッパ・エクセレンス・イニシアティブ「ヨーロッパ大学」への対応

 
経済的に弱い国を含む欧州全体を対象とした、ヨーロッパ・エクセレンス・イニシアティブは必要であるのか。最近になって欧州連合(EU)加盟国の政府首班により提案された、20の「ヨーロッパ大学」の目標とは何であるのか。これらの疑問について、ドイツ大学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)主催の大学役員のためのEU戦略会議において、政治と学術の専門家との公開討論の場で議論が行われた。
 
ドイツの大学の代表者たちは、「ヨーロッパ大学」の名のもとに大学間のネットワークを生み出すという欧州委員会及び各国首班の考えを大筋では歓迎している。彼らは、大学、研究者及び学生の全体が、このような戦略的なパートナーシップにより利益を得ると考えている。
 
会議に続いて、HRKのヒップラー会長は、「大学の代表者たちは、ヨーロッパ大学のコンセプトが、教育だけでなく教育、研究、革新の三分野と結びついているものであるという欧州委員会の考えに満場一致で賛成した。」と述べた。また、ドイツにおける連邦政府と州政府のようにEU加盟国と欧州委員会が関係を密にすることは、大学間のネットワークをボトムアップの方法で戦略的に進めるために必要であると述べ、「このプロセスを効果的に計画するためには時間がかかる。」と付け加えた。「大学は、このプロジェクトを軌道に乗せるために自らの役割を果たすだろう。成功のためには、大学が、政治的なプロセスにより活発に関わる必要がある。」と述べた。
 
HRKも独自の提案により、ヨーロッパ大学の議論を活発化させている。150人の参加者で迎えた公開討論の場において、ヒップラー会長は「HRKとポーランドのパートナーから成るポーランド大学長会議(KRASP)は、EU加盟国にある大学を対象としたエクセレンス・イニシアティブを提案する文書を発表した。1月24日時点で、このコンセプトに対して、多くの支持が表明されている。」と述べた。
 
このコンセプトの肝は、EUに加盟する各国が参加するか否かを選択し、参加する場合には、自国の予算又はEU構造基金からイニシアティブに出資する点である。イニシアティブの審査及び採否の判断は、欧州の研究資金配分機関がヨーロッパ・エクセレンス・イニシアティブの枠組みから資金を得ることで適切に実施することができる。これにより、イノベーション推進に後れを取っている各国においては、自国の学術システムの強みと弱みを客観的に査定し、より焦点を絞った開発が可能になるとともに、国際的な競争力を高めることが可能となる。
 
2018年1月24日
 
HRK:HRK in Brüssel: Europäische Exzellenzinitiative – Europäische Universitäten
 

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