【ニュース・ドイツ】ドイツの留学生総数はコロナにもかかわらず増加

 
パンデミックは、ドイツの学生や科学者の海外への移動に関してどのような影響を与えたか。この質問に対する答えは、直近発行された「Wissenschaft weltoffen 2021」に示されており、それについて今回 DAAD のヤン・ケルヒャー博士と意見を交わした。

 
ケルヒャー博士、コロナウイルスのパンデミックによってドイツの留学生にどんなインパクトがもたらされたか、現在明らかになっているのでしょうか。

 
私たちは残念なことにまだパンデミックの最中におり、おそらく第4波に直面しているので、今のところ最終的な判断をすることはできない。しかしながら、ドイツでの初めの2学期間(2020年夏学期、2020年から2021年にかけての冬学期)において、いかにコロナウイルスのパンデミックは学生の移動(モビリティー)に影響をもたらしたかについて、いくつかのことを言うことができる。

 
夏学期、冬学期その両方で、留学生の数について全体的な減少はなかった。それどころかコロナウイルスにも関わらず、ドイツへの合計の留学生数は増加した。驚くべきことではあるが、もちろんとても喜ばしいことだと言えるだろう。

 
また、この驚くべき結果はどのような理由によるものでしょうか。

 
もう少し詳しく見ると、確かに1年目の留学生については、前年同学期と比べて夏学期41%、冬学期19%と大幅な減少があったことが明らかになっている。しかしながら、この減少は、訪問学生や交換留学生に主に影響し、ドイツの大学で学位取得を希望する一般学生にはそれほど影響しなかった。

 
これらの訪問学生や交換留学生は通常1学期間か最大でも2学期間しかドイツにいないため、合計の留学生数に大きな影響を与えなかった。加えて、私たちはコロナウイルスのパンデミックの初期から既にドイツにいる留学生の多くが、当初の計画を変更したり、変更せざるを得なかったのではないかと思う。

 
おそらく、例えば、当初の計画を変更し、多くの学部卒業生はパンデミックの最中に仕事を探す代わりに、卒業後すぐに修士課程を開始した。コロナウイルスの結果として、そうでなかった場合より多くの留学生がドイツの学習システムの中に残ったと考えられる。

 
コロナ禍のドイツの学生の海外への移動(留学)についてすでに何か言えることはありますか。

 
はい、私たちは多少よりよいデータを持っているが、それは「単位の移動」、すなわち、例えばエラスムスプログラムの枠組内などの一時的な学習関係の海外移動のデータに限られる。これは「学位の移動」(海外での学位取得)、すなわちドイツの学生の学位に関係する国際的な移動のデータを得るためには、私たちはそれぞれの受入国の高等教育統計に頼る必要があるが、それらは常に1年かそれ以上遅れている。
 
しかしながら、「Wissenschaft weltoffen 2021」の発行までの間に2020年から2021年にかけての冬学期のデータがすでに利用可能な唯一の重要な受入国であるスイスの例では、パンデミックのため、ドイツの学生全般の学位の移動の数が大幅に減っているとは決して考えられないことが示されている。実際、ドイツの学生は、前年よりも約4%多く、スイスの2020年から2021年にかけての冬学期に入学した。

 
お話にあったドイツからの学生の単位の移動は、コロナウイルスのパンデミックが始まって以来どのように発展しましたか。

 
特にエラスムスプログラムの発展について、単位の移動において、それは最も重要なサポートプログラムであると言うことができる。コロナ前の2019年に、早期に終了しないでとどまった正規のエラスムスの滞在数は約4万1,000件だった。一方、コロナ禍の2020年にはたった21,000件の正規の滞在であった。

 
しかしながら、多くの海外の大学が一時的にエラスムスの学生の受入れを完全に止めたことを踏まえると、このような不運な状況下では、これでもかなりの成功だと考えられる。正規の滞在、すなわち完全な対面式の滞在に加えて、2020年の半ばからはエラスムスによる滞在を対面とバーチャルのハイブリッドや、完全にバーチャルに行うという選択肢も出てきた。

 
これらの選択肢を利用した学生もいたが、合わせてもこれらは2020年半ば以降のエラスムスによる滞在件数のたった約4%に過ぎない。このことからも、エラスムス参加者の大部分が、コロナ禍にもかかわらず正規の対面の滞在をしたかったということを示している。

 
現時点で、コロナ禍がドイツにおける国際的な研究者の移動にどのような効果をもたらしたと言うことができるでしょうか。

 
はい、私たちはこの「Wissenschaft weltoffen」(世界に開かれた科学)の一環として、初期のデータを集め、評価することができている。しかしながら、ここでも学生データと同じことが言える。今のところ、私たちは主に短期の滞在については述べることができているが、大学や他の研究機関での雇用契約に基づくような長期間の滞在については述べられていない。

 
「Wissenschaft weltoffen」の一環として、私たちは科学者の短期滞在や資金助成されたゲスト滞在について関係する資金助成機関に年次調査を行っている。その調査では、2020年に、特にドイツから海外に行く移動について資金助成の急激な減少があったこと、ただ海外からドイツへの移動についてはそれほどの減少でもなかったことが示された。

 
この理由はおそらく、私たちが調査したドイツに本拠地を置く資金助成機関は、パンデミックの状況と規制が非常に異なり絶えず変化している多くの海外での滞在より、自国でのゲスト滞在を調整・管理する方が容易だと思っているからであろう。

 
2021年10月4日


DAAD: „Gesamtzahl der internationalen Studierenden in Deutschland trotz Corona gestiegen“


地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 国際化、学生交流