【ニュース・ドイツ】チャンスを広げるドイツの教育制度

経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)調査の結果、柔軟な教育制度と将来に結びつく資格取得制度によりドイツが躍進

 

ドイツの職業訓練と学術教育という複線的な教育制度は、機会均等や他国からの若い移住者の社会融合を可能にしている点で、国際的にも優れている。男女ともに等しく意欲的な教育参画と、平均を遥かに上回るMINT分野(Mathematik[数学]、Informatik[情報科学]、Naturwissenschaften[自然科学]、Technik[工学])への関心が、未来のデジタル化に向けた好条件を生み出している。
2018年9月11日、各州文部大臣会議(Kultusministerkonferenz:KMK)とドイツ連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung:BMBF)はOECDベルリンセンターと共同で、OECD報告書「図表でみる教育2018年版(Bildung auf einen Blick 2018)」を発表した。当該報告において、ドイツの教育制度が安定した効率的なものであることが示されている。

 

報告書の発表にあたり、BMBFのカリチェック(Anja Karliczek)大臣は次のように述べた。
「ドイツには、チャンスを広げる教育制度がある。これにより、誰もが自分の能力を強化し、自分にあったキャリアパスを歩み、良い人生の基盤を築くことができる。ドイツの職業訓練と学術教育は、平等で持続可能な進路の選択肢である。これは、国際競争上の強みであり、この優位性はさらに高まっていくだろう。OECD報告書がこのようなドイツの強みを認めていることを喜ばしく思う。一方で、ドイツにおける新たな課題も認識している。ドイツのすべての人々が教育、職業訓練、職業において平等な機会を得ることができるよう、力を合わせていきたい。」

 

2007年~2017年の10年間で、中等教育課程を修了した25歳~34歳の若年成人の就業率は、77%から83%へ6ポイント上昇した。この就業率は、OECD平均値である77%を遥かに上回っている。また、他国からの若い移住者にとっても、教育から就業への移行は順調である。ドイツ出身者、および幼少期(15歳以前)にドイツへ移住した者の就業率にはほとんど違いが見られなかった。中等教育課程修了者の就業率はともに82%と同等であり、高等教育課程修了者の就業率の差はわずか1%(ドイツ出身者91% 、幼少期の移住者90%)であった 。

 

教員の需要の観点から、各州は教員を誘致するための州別アプローチについて意見交換をすることで合意している。KMK議長、かつテューリンゲン州教育・青少年・スポーツ担当大臣であるホルター(Helmut Holter)氏は次のように述べた。
「外国からの新たな移住者の影響もあり、教員の需要が高まっているこの時代、重要なのは教員という職業が高く評価されているということである。転職者の教員であっても、授業計画を立てる際に重要かつ貴重な役割を果たしている。加えて、スクールソーシャルワーカーやアシスタント、特別支援学級介助者とともに、私たちは教員をサポートしている。」

 

OECD加盟国で、ドイツほどMINT分野が好まれている国は他にない。2016年には、高等教育課程の卒業者のうち、3分の1以上(36%)がMINT分野を修了している(OECD平均は24%)。女性のMINT分野に対する関心は、博士課程においても高まっている。ドイツにおける博士課程入学者の2人に1人が女性(46%)であり、女性入学者の約37%がMINT分野の博士課程を選んでいる(OECD平均は31%)。

 

ホルター氏はこれについて次のように述べている。
「高等教育課程の卒業生のうち、MINT分野を修了した学生の割合が非常に高いことは、喜ばしいことである。私たちは、MINT分野でより多くの留学生を獲得するとともに、女性のMINT分野に対する関心を高め、女子学生の割合がさらに高まるよう、高等教育機関へ働きかけていきたい。」

 

2018年9月11日

 

BMBF:Deutsches Bildungssystem eröffnet Chancen

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 国際機関レベルの取組、政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
統計、データ 統計・データ