【ニュース・ドイツ】ザッテルベルガー政務次官:研究移転は私たちにとって重要である

 
BMBF(ドイツ連邦教育研究省)の検証プログラム VIP+ は、優れた研究成果の実践への目覚ましい移転を表彰した。
 
本日ベルリンで開催された VIP+ イノベーション会議2022において、研究成果を革新的に応用した模範的な方法として、3つのプロジェクトが連邦教育研究省から表彰された。
 
これに関して、トーマス・ザッテルベルガー政務次官は次のとおり説明する:

 

「研究は未来の価値創造のための基礎であり、同時に質の高いヘルスケアを保証するものである。このことは新型コロナウイルスの世界的流行においても明らかになった。卓越した研究と多くの優れたアイデアが本物のイノベーションになるには、研究成果が実践に至ることが非常に重要である。研究移転は私たちにとって常に重要である。そのため、連邦教育研究省は、VIP+ プログラムにより研究成果の経済的な活用と社会的な応用への移転を奨励する。採択されたプロジェクトは、研究成果が迅速に、そして多くの市民や企業のために利用できるという点で共通している。表彰された3つのプロジェクトは、革新性により、それぞれの分野の真の先駆者であるだけでなく、より良いヘルスケアあるいはより持続可能な製品への可能性を有する。」

 

背景

 
経済的または社会的イノベーションの道を舗装し、加速させる-これは連邦教育研究省(BMBF)が、助成プログラム「科学研究の技術的及び社会的イノベーションの可能性の検証(VIP+)」において目標とするところである。表彰されたプロジェクトは、例えば、「心臓ズボン(Herzhose)」がどのようにコロナ患者の脚の血行不全を軽減するか(AngioAccel)、病院において特定の耐性菌に対していかに抗生物質を作用させるか(aBACTER)、あるいは、プラスチック包装の材料とエネルギーを大幅に削減するために、対象の加熱プロセスがどのように役立つか(CeraHEAT)ということを示す。

 

表彰された3機関は、以下のとおりである:

 
ミュンヘン工科大学

 
プロジェクト:aBACTER -致死性感染症治療のための耐性菌の無い抗生物質の前臨床開発

 
研究チームは、実際にがん治療に使用され、抗菌作用を持つ薬剤が、化学修飾することで、多剤耐性菌に対して効用を示すことを発見した。チームは、その研究において化学、細胞生物学、質量分析の方法を組み合わせた。「aBACTER」プロジェクトは、VIP+ プログラムにおいて、心臓内膜の炎症を治療する抗生物質開発に向けてこれらの成果の有効性を確認した。aBACTER の成果を長期的に継続するために、このプロジェクトから smartbax 社が設立された。多剤耐性菌は、世界中の多くの病院で急速に増えている問題である。このように aBACTER プロジェクトによるイノベーションは、世界中のヘルスケアを進歩させ、多くの命を救う可能性を持つ。

 
ブランデンブルク医科大学

 

プロジェクト:AngioAccel-アンテパルセーション(Antepulsation)による末梢閉塞性疾患(pAVK)の非侵襲的治療:脚の生物学的バイパスのための革新的なコンセプト

 
AngioAccel の治療コンセプトは、ECG(心電計)制御カフを使ったいわゆる「心臓ズボン(Herzhose)」の力を借りて、末梢閉塞性疾患(pAVK)つまり脚の血行不全の患者の血流を増加させることである。その結果、患者の運動能力は明らかに向上する。VIP+プログラムにおけるAngioAccelプロジェクトの目標は、この疾患のある患者の治療コンセプトの有効性を確認することであった。プログラムで実施された研究は、大成功を収めた。患者の生活の質と運動能力は大幅に向上し、歩行距離を最大500%まで伸ばすことができた。

 
フラウンホーファー加工機械・包装技術応用センター(AVV)及びドレスデン工科大学

 
プロジェクト:CeraHeat- 効率的かつ高速な、接触型空間分解表面加熱プロセスの開発フラウンホーファー AVV とドレスデン工科大学は、プラスチック包装製造のための新しい加熱システムを開発した。これによりエネルギー消費量を大幅に削減しながら成形プラスチック製品の品質を向上させられる。これはとりわけ、プラスチック製品の表面を急速かつ狙いを定めて加熱させることで実現する。局所加熱の原理は、多数の小さな加熱ピクセルに基づく。CeraHeat プロジェクトでは、VIP+ プログラムのなかで新しい技術が産業に即し条件下で使用可能かどうか検証され、大きな成功を収めた。このイノベーションにより、包装プロセスにおいて少なくとも30%の材料とエネルギーを節約することができる。

 
BMBF は、助成プログラム「科学研究の技術的及び社会的イノベーションの可能性の検証 (VIP+)」を2015年に開始した。このプログラムは、卓越した技術的及び非技術的な研究成果を、後に応用又は活用に関して検証する研究者たちを支援する。プロジェクトは、例えば高度に経済的あるいは社会的利益をもつ応用分野において、その研究成果が実用・実現可能かどうかを検証する。このように VIP+ は、すべての参加機関における成果移転の強化にも寄与している。VIP+ の開始以来、175のプロジェクトが承認され、助成額は2億ユーロ近くにのぼる。VIP+ による各助成終了後の5年間で、かつてのプロジェクトのほぼ3分の1が起業につながった、あるいは起業段階にある。VIP+ プログラムでの研究をもとに、助成終了したプロジェクトの5分の1以上で新しい特許が出願されている。

 
2022年3月22日


BMBF: Sattelberger: Forschungstransfer ist für uns zentral


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