【ニュース・ドイツ】コロナによる行動規制に対応し、複数の研究プロジェクトに広範な財政支援。DFG、1 億 7,500 万ユーロのパッケージをまとめる

 
 資金提供を受ける者は、簡便な方法で追加の人的・物的リソースを受けられる/Katja Becker DFG会長「多くの事業の継続と完了のために緊急に必要な保障」

 
 ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、コロナウイルスのパンデミックと社会生活における規制の影響を受けた採択プロジェクトに対し、ただちに追加資金の提供を行う。ドイツ最大の研究資金提供機関であり、ドイツにおける学問の中央自治組織である協議会は、DFG 理事会の提案による一連の措置を承認した。これらの措置により、計画通りに実施できない研究を継続・完了させるために、多くの資金調達手続きにおいて追加の人員・物的資源を申請することが可能になった。この資金は少なくとも1億7500万ユーロの規模であり、これに、DFGの助成金の標準となっている間接経費の22%にあたるプログラム手当が追加されている。

 
 「コロナウイルスのパンデミックとそれを封じ込めるために採用された対策は、多くの研究プロジェクトの制限と遅延につながることは避けられない。これは、実際の研究自体だけでなく、プロジェクトに取り組む人々にも影響を与える。DFG は、このような時間的・経済的な影響を緩和するため、早い段階で初動措置をとった。これには、コスト相応の成果が見込まれるプロジェクト期間の延長のほか、補償的、橋渡し的、追加的な資金提供や、公募期間の延長、フェローシップや博士課程の学生のための雇用契約の延長も含まれる。こういった費用対効果が見込まれる新たな措置により、資金提供を受ける研究者とその関係者に、研究を成功裏に継続するのに必要な追加の保障を与えることになる」と、DFG理事長のKatja Becker氏は、現在の状況を鑑み書面手続きにより行われた協議会の決定を受けて述べた。

 
 今回決定した資金援助は、2020年4月1日から2021年6月30日までの間に資金援助が終了するプロジェクトで、コロナウイルスのパンデミックによりこの期間に事業を継続することができなかったプロジェクトをまずは対象としている。承認された資金を利用できなくなった場合は追加で3ヶ月間申請が可能であり、支援期間中における同期間の受給平均額の80%が上限となる。この規則は、すべての助成金、研究グループ、優先プログラム、その他多くのいわゆるプロジェクト資金調達の手続きに適用され、したがって、30,000以上あるDFGの資金提供プロジェクトのうち大部分が対象となる。

 
 大規模な研究コンソーシアムの場合、現行の助成期間が2020年6月30日から2021年6月30日の間に終了し、継続申請ができない共同研究拠点は、この期間に当初承認されていた平均金額の80%に相当する定額支援を追加で3ヶ月間受けることができる。研究研修グループは、博士課程在学中の研究者の契約期間を通常の36ヶ月を超えて最長48ヶ月まで延長することができる。この目的のために承認された資金が十分でない場合は、当該学生1人当たり、ポストやフェローシップにかかる毎月の支払の3ヶ月分を上限として追加の資金を要求することができる。研究グループ以外のフェローシップ受給者やDFGフェローについては、3月に既に承認されていた、フェローシップの支給を3ヶ月間継続することなどを含む措置を協議会で確認した。

 
 さらに、すべてのプロジェクトにおいて、パンデミックの影響で中止せざるを得なくなったイベントの中止費用をプロジェクト経費として計上できるようになった。2021年秋までに実施予定であったイベントを中止する場合、当初の助成額を維持した上で中止費用を補填することができる。
 

2020年5月20日
 


DFG: Umfangreiche Finanzhilfe für Forschungsprojekte wegen Corona-Einschränkungen: DFG schnürt 175-Millionen-Euro-Paket

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