【ニュース・タイ】高等教育局、省へ引き上げの議論

教育は、国家平和秩序評議会(National Council for Peace and Order:NCPO)の重要な改革分野のひとつである。

タイ大学学長会議(Council of University Presidents of Thailand:CUPT)のPradit Wanarat副会長は、高等教育局を省に昇格し、大学省を設置すべきだと提言している。20年前、タイには大学省があったが、省庁制度改革の中で、教育省の一部である高等教育局に改変された。以後、大学省を復活させようという動きはあったが、独立法人化した大学を管轄するための省を設置する必要性を十分に説明することができず、実現しなかった。

現在大学は、それぞれの大学の規則の元で運営されており、そのうちの多くの大学が、現在、独立法人化の過程にあり、省庁制度から独立している。しかし、タイ国内には100以上の大学があり、アジアや世界の大学ランキングに名を連ねることのできる大学はほんの2、3大学のみであることを考慮すると、その組織自体があまり強固なものではないことがわかる。国から自立した大学運営を行うということは、国に依存しない会計システムに加えて、独自の資金の調達源が必要である。現在、類似した学部を保有する大学同士の教員や学生の交流連携はあまり進んでいない。

大学間の格差も広がっており、潤沢な資金のある大学は、学生をさらに集めるために、魅力的なコースを設置することができるが、弱小大学の場合は、それができない。この結果、こういった弱小大学に進学する、主に地方の学生(その学生数は、エリート大学の学生数より遥かに多いが)が不利益をこうむっている。

Yingluck前政権においてカリキュラムの改革を担当した教育専門家であるPavich Thongroj氏は、それぞれの大学は、目標とアクションプランを差別化するべきであると述べ、以下のような改革案を主張している。全国の3万の小中学校、何千もの職業学校及び私立学校を管轄する教育省の中の一つの小さな局では、高等教育局の施策や執行はほとんど無視されてしまう。

また、職業教育局(Office of Vocational Education Commission)も新たに設置する省の中に加えるべきである。これは、民間企業に歓迎される提案である。民間企業は、タイの製造業を進歩させるために、高い技術と知識を持った人材を求めている。タイは、もはや、安い労働力の中心地ではないが、タイの企業は、十分な人材がなければ発展することができない。

Pavich氏は、大学はより研究を重視するべきであると主張している。しかし、高等教育局が教育省の管轄下にあっては、研究予算を十分に獲得することができない。Suthasri Wongsaman教育省事務次官は、6月の初めに、今後の教育改革について以下のとおり述べた。

NCPOの管轄の下、歴史と道徳教育及び英語を中心に教育カリキュラムの改革を進める。また、教員の数も増やす予定である。大学の研究所の設置も促進する。タイの教育機関は、すべての国民に教育の機会を平等に提供し、ASEAN経済共同体へ向けて準備しなければならない。

しかし、これらの改革目標は、基礎的な問題が解決されない限り達成されない。Pavich氏は、NCPOが、様々な分野からの意見に耳を傾け、包括的な改革プランを策定するために、教育教育評議会を立ち上げることを提言している。

(2014年6月9日 Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、政策・経営・行動計画・評価