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【ニュース・タイ】高等教育省が間もなく発足(2018年4月25日付)
科学技術大臣Suvit Maesincee氏は、社会科学と人文科学分野の軽視について批評家から懸念の声が上がっていたことを踏まえ、科学技術省と高等教育局(Office of Higher Education Commission:OHEC)および国立の研究機関を合併した新省においてはそのようなことはないことを強調し、2018年5月25日に行われた新省発足に関する会議の場で、「社会科学および人文科学研究は研究社会発展基金(Research and Social Development Fund)を通して支援される。それらの分野の研究が国家にとって重要であることに変わりはない。」と発言した。
同氏は次のように述べている。
「新省は中国科学院をモデルとしており、名称は未定であるが、タイランド4.0の目標達成に必要な人材育成のため学術機関における研究とイノベーションの実現を支援することになっている。
この新省の下、3つのファンドが設立された。
2つ目は新規事業立ち上げを支援する競争基金、
3つ目はラチャパット大学(Rajabhat Universities)を支援する研究社会開発基金である。
資金不足だけでなく明確な研究戦略もないタイの大学にとって、この新省は真に必要なのだ。国内で実施されている研究のうち実用化されているものは10%しかないのが現状である。この状況の改善は、それぞれの大学グループへの資金援助に関する方針および資金源を明確にできるかどうかにかかっている。」
タマサート大学(Thammasat University)の前学長Somkid Lertpaitoon氏らを始めとする教育関係者からは、新省の支援対象は科学とイノベーションのみにとどまるのではないかとの懸念の声が上がっている。
チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)教育学部講師のSompong Jitradub氏も高等教育省の発足計画に係る混乱を懸念し、「合併計画は元の高等教育省の設立コンセプトとは異なるものになっている。特に高等教育機関の長を交えたうえで、より一層の議論が行われるべきだ。」と述べている。
政府はタイ大学長会議(Council of University Presidents of Thailand:CUPT)、ラチャパット大学学長会議(Council of Rajabhat University Presidents of Thailand)およびラージャマンガラ工科大学学長会議(Council of Rajamangala University Presidents of Thailand)とのミーティングを来週実施し、合併について議論する。
首相府大臣のKobsak Pootrakool氏は、この新省は2019年の総選挙前に公式に発足する予定であり、新省設立のための3件の法案は、3カ月以内にプラユット首相が法案に関して議会の意を問うことなく承認ができると定めた44条項を発動させることなく承認され、新省が発足するだろうとの見通しを示した。
2018年5月26日
Bangkok Post:Science chief defends ‘new ministry’ plan