【ニュース・タイ】学習機会の平等に向け好スタート

 
2021年10月上旬、タイの教育制度の根本的な問題の解決を目的とした小さなプロジェクトが発足した。「Equitable Education Guarantee System 平等な教育保証制度」と名付けられたこのプロジェクトは、学校制度における富裕層と低所得層の生徒間の格差を縮めることを明確な目的としている。

 
このプロジェクトは、高等教育科学研究イノベーション省、タイ大学学長協議会、「Equitable Education Fund」の共同プロジェクトである。

 
このプロジェクトでは、100万人以上の低所得世帯の学生のデータベースが作成され、当局が学生の問題や学校での学習状況を監視するのに役立つ
だろう。そして何より重要なのは、政府と民間企業が、奨学金やその他企業の社会的責任(CSR)活動などの資源を、貧しい学生を 効果的に支援
する、より適切なチャネルとできるようになることである。

 
タイの教育制度における平等性を向上させるためのプロジェクトは、これまでにも数え切れないほど実施されてきたが、そのほとんどが慈善事業
や寄付を中心としたものだった。しかし、政府の最新プロジェクトは、変化をもたらすための構造改革に焦点を当てた初めてのものである点で異なっている。

 
政府が教育にもっと多くの注意を払う必要があることは周知の事実である。しかし、教育を取り巻く問題は毎年同じで、改善の兆しはほとんど見られ
ない。

 
一般的に、若い才能を多く持つ国は、親の財布の大きさに関係なく、すべての学生がアクセス可能な充実した教育システムを持っているものだ。
しかし悲しいかな、タイでは、裕福な家庭の学生が教育や就職の機会を独占する一方で、貧しい家庭の学生は、どんなに才能豊かで適応力があっても、
途中でうなだれ、挫折してしまう。この事実は、タイが人的資源とその労働力の開発をしようとしても、近隣諸国に追いつけない理由を物語っている。

 
では、タイ政府は教育を十分な支出をしていないということなのか?

 
答えは、その逆である。過去数十年間、教育省は全省庁の中で最大の予算を獲得しており、国家予算の5分の1近くを占めることもあった。事実、タイ
では予算の5%を教育に費やしており、これは OECD 平均の4.9%よりもわずかに多く、政府は40万人の教師の給料や福利厚生はもちろん、制服や
給食、貧しい環境にある生徒の授業料などに充てている。言うまでもなく、私たちの教育への投資は報われていないのである。

 
政府には、恵まれない環境にある生徒を支援するための体系的なアプローチを考えるのに必要な焦点を持ってこなかった。

 
よって、この新プロジェクトは、タイの若い才能を教育し育成する政府の取り組みとして、好スタートを切ったと言えるだろう。その多くが、まだ
どこか遠くに隠れていて、発見されるのを待っている原石のようなものなのだから。

 


バンコクポスト紙 (10月12日): Good start to level learning


、10月12日

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集、学生の多様性