【ニュース・タイ】学生ローン返済のため、雇用主は給与天引きを開始

 
労働者のうち、学生時代にThe Student Loan Funds(SLF)からを大きな借り入れをした者の雇用主には、2018年6月から始まる給与天引きの実施が求められる。
 
SLFのMr. Chainarong Kajchapananマネージャーの発言では、近々 会計検査院がその職員に対し、学生ローン返済用の給与天引きを初めて実施するということだ。「会計検査院は6月に職員の給与天引きを行い、そして他の政府関係機関もそれに追随していきます」とMr. Chainarongは言う。
 
政府関係機関で働く者の中には、約17万人の学生ローン受給者がいるとされている。
 
Mr. Chainarongは、10月頃には民間企業にも同様の給与天引き実施を期待する。「雇用主が給与天引き漏れを起こした場合、労働者のローンに対し雇用主が説明責任を負うことになります」とMr. Chainarongは述べた。
 
この給与天引きは、昨年実施されたThe Student Loan Fund BE 2560の受給者に対して実施が可能となっている。1996年から2017年の間、SLFは540万人の学生に対し、5,600億バーツもの貸付をタイ国内で行ってきた。
 
現在約357万人の受給者が返済開始となっている。しかし、定期的な返済を行っているのはわずか130万人程度である。「残りの約220万人は債務不履行の状態です。彼らは私達に688億バーツもの借金を負っているのです」とMr. Chainarongは言う。
 
SLFは債務不履行者120万人に対し既に法的な措置をとっており、そのうち96万人は返済のための新たな契約を結んだ。しかし、24万人は裁判所に出頭しないまま、債務不履行責任を問われる判決を受けている。
 
Mr. Chainarongは、現在定期的に給与を得ていない学生ローン受給者にもその旨を申し出てほしいと期待している。申し出がない場合、彼らからの返済を求めて裁判所の執行部を通じて強制執行を行うことになってしまう。
 
債務不履行を起こしている者の多くが自身の財産管理ができていないことに、Mr. Chainarongは苦言を呈す。「彼らは収入と支出の管理ができないのです」。SLFは一般的な銀行ローンに比べ、緩やかな条件でローンを提供している。受給者は卒業2年後に返済を開始、利息は年1%といった具合である。
 
Mr. Chainarongは、一部の受給者は高い利息を課されると返済をスムーズに行う傾向があるとも考えている。「お金を借りたのではなく無償でもらったのだと主張する者もいるが、これは誤りです」。新しい学生へ貸付を行うために返済は必要なのだと、Mr. Chainarongは付け加えた。Mr. Chainarongは受給者に対し、次世代への教育機会の提供のために遅滞のない返済を求めている。
 
SLFは現在、タイ経団連やタイ商工会議所を含む複数の組織と連絡をとり、学生ローンの返済条件についてより理解を深めてもらう努力をしている。学生ローンの受給者は就職先での勤務開始後30日以内に、雇用主に対し自身が学生ローンを借りていたことを申告することが義務付けられている。
 
ローンの返済状況は過去3年で改善されてきている。2015年には180億バーツの返済があり、2016年には210億バーツに達した。そして昨年2017年は、260億バーツである。
 
「今年はさらに返済額が増えると確信しています」とMr. Chainarongは言った。
 
2018年2月9日
 
The Nation:Employers to begin garnishing wages to repay student loans
 

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