【ニュース・タイ】基準を満たさないPhDコースが調査の引き金に

タイ高等教育局(Office of Higher Education Comission:OHEC)は、博士課程教育の教育水準を維持し、大学が提供する基準未満の博士課程研究プログラムを排除するための試みとして、タイ国全域の大学で博士課程の基準を調査する特別委員会を先日設置した。

 

この委員会は、国内全域の博士課程の質に関する懸念に応えて活動してきた。これは、昨年、大学に入学したPhD学生の数が25,000人以上に急増したためで、2008年の1,380人と比較すると10年弱で18倍に増加したことになる。

 

OHECのデータによると、学生が進むことができるPhDプログラムは、現在、タイの33大学で少なくとも1,000コースが存在する。

 

OHEC事務局長のArporn Kaenwong氏は、通常は最低3年間を要する博士課程で、いくつかの機関の学生らは現在、わずか1年間で博士号の取得が可能であるという情報を同委員会が入手し、また、多くの大学は明らかに国のニーズへの対応としてというよりも、むしろ金儲けのために、それらのコースを提供し始めたことを明らかにした。

 

Arporn氏は「PhD卒業生数の増加の裏には、博士課程プログラム数と博士課程へ入学した学生数を管理するための手段がないという理由がある。」と述べた。また、同氏は「大学は現在、博士課程プログラムを立ち上げるために大学職員の既存の予備要員をあてにすることはできないが、関心を引く分野の専門家を雇用することは可能である。」とも述べ、「近年では、博士課程を立ち上げるために、大学側としてはカリキュラムを作成し、学生から提出された論文を審査する委員会の委員を務める関連分野のPhD取得者はわずか3名いればよい。」

 

「さらに各大学は、新規プログラム立ち上げやそのプログラムの質を決定する独自の評議会も有している。」「OHECは地方分権一括法によってそれらを管理することができなかった。」と続けた。

 

「そのような課程を開講するという決定は、主に各大学の評議会の責務であるため、OHECは博士課程の質を厳しく監視することはできないでいる。我々ができることは、大学が定員数以上に受け入れを行っていなかいどうか、あるいは大学側が要求する有資格の教員数が実際に満たされているかどうかということを調査する事後監査評価を実施することである。」

 

「OHECの特別委員会は、基準を満たさないコースを提供している疑いのある大学で、複数の博士課程プログラムの調査をすでに開始した。」と述べた。同委員会は、近いうちにその結果をOHECに報告する予定である。

 

同氏は、仮に大学が基準未満のコースを提供していると発見された場合、その問題が解決するまで、一時的に学生の新規採用は停止されると説明した。

 

(2016年6月18日 Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証