【ニュース・タイ】医師や看護師を危機にさらす医療関連高等教育法案の4条文

タイ国医師評議会(The Medical Council of Thailand)および10の専門家団体は、2018年8月29日、高等教育に関連する法案の4条文が生命とタイの将来を脅かすとの懸念を示した。

 

問題となっている条文は、大学の課程に対する認証評価およびカリキュラム策定に専門家機関を関与させないことを企図するものであり、この条文が施行された場合は専門家機関が医師、看護師、歯科医師、会計士、薬剤師、臨床衛生検査技師、理学療法士、技工士、メディカル・エンジニアの行為に対し、規制をかけることが不可能となる。

 

『医療の専門家を養成する課程には、臨床での医療行為を行うための教育内容も含まれている。適正な審査基準がなければ、生命が危機にさらされることもある』とする声明が11の専門家機関の合同記者会見の中で発表された。
医学部が質の低い卒業生を世に送り出せば国民に悪影響を与えるとタイ国医師評議会の副事務局長Khrieng Ausavarungnirun博士は述べた。

 

タイ看護・助産評議会(Thailand Nursing and Midwifery Council)のSiri-orn Sindhu副会長は、以下のように発言している。
「教育機関において質の高い教育を提供しなければ、学生への悪影響があるだろう。私達は、すべてとはいわないが大半の一流の看護師養成機関の卒業生が看護師に十分な資格を持っていると考えている。ただ新設の機関の卒業生は10%弱だけが及第点といったところであり、これらの卒業生の多くは最終的に看護と関係のない職業についてしまっている。毎年60%の新卒者が看護師資格を取得しているが、高等教育法案が修正なしに可決されてしまったなら、この数字は急激に下がるだろう。」

 

タイ国獣医師評議会(Veterinary Council of Thailand)のThawatchai Sakphuaram会長は、獣医師はペットだけではなく家畜の治療をも行っている事実を無視することはできないとしたうえで、「獣医学の専門家は年1,000億バーツ以上の規模を誇る産業においても重要な役割を果たしている。」と述べている。

 

また、医療技術評議会(The Medical Technology Council)のSomchai Viriyayu dhakorn理事は、専門家機関による教育プログラムに対する規制が不可能になった場合の責任の所在について疑問を呈したうえで、「あくまでも反対しているのは法案全体ではなく、問題になっている4つの条文に対してのみだ。」と述べている。

 

なお、高等教育関連法案に関する国家臨時特別委員会評議会(Council of State’s ad-hoc committee)のBorwornsak Uwanno議長は、「自分が議長を務める委員会においては専門家団体の意見も考慮する。」と述べている。

 

2018年8月30日

 

The Nation:4 clauses in new education bill can endanger lives:doctors, nurses

地域 アジア・オセアニア
タイ
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