【ニュース・タイ】タイ教育の衰退を逆転させる方策

 
教育再生独立委員会(Independent Committee for Education Reform:ICER)は同委員会がこの2年間で行ってきた提案を実現させれば、数十年に渡るタイの教育水準の下降を上向きに変えられると考えている。
 
ICERの2年の任期が2019年5月31日に終了するのに先立ち、ICER会長Charas Suwanwela教授は、「我々は教育部門に向けた明確なガイドラインを提案してきた。」と述べた。ICERは国家教育法(National Education Bill)、教育機会均等基金法(Equitable Education Fund Act)および幼児教育法(Early Childhood Act)といった法律制定を提案してきた。
 
「私たちはまた、教育革新のための分野を特定した。」とCharas教授は述べた。
 
ICERは、教育改革の取り組みを主導するために2年前に設立された。 タイの学校教育で改革が非常に必要とされていることは広く受け入れられている。 教育の質は、より多くの財源とより大きな予算が割り当てられているにもかかわらず、ほとんど改善を示さなかった。
 
「過去数十年にわたり教育の質で多くの国がタイを上回ってきた。この傾向は容認できない。」とCharas教授は話す。
 
Charas教授は委員会の改革のためのガイドラインは今後4年から5年にかけて教育部門を改善することが出来ると考えている。
 
改革のタスキを渡す準備をしているCharas教授は、新しい政府は教育問題に注意を払い、積極的に解決策を追及するべきであると強調した。「学校では暗記学習が優勢であるがその結果、学習到達度調査(PISA)と国際数学・理科教育調査の一部でタイの平均点が全体の平均点を下回ることとなった。」
 
Charas教授は、タイの職業訓練学校の卒業生も未熟であると指摘し、さらに、タイの高等教育機関も国際レベルで競争することはできないと語る。さらに、教育に多くの資源が費やされたにもかかわらず質の向上は見られず、間違った態度と知見による失敗を非難する、と述べた。
 
「多くのタイ人が依然として大学の学位が個々の能力よりも重要であると信じている。社会はまた、質の高い教育を提供することは国の義務であると考えているが、実際にはすべての人が貢献するべきである。」とCharas教授は語った。
 
国家教育法案を策定した特別ICER委員会の議長Jiruth Sriratanaban氏は、ICERは教育の不平等を減らし、競争力を高めることを目的としている、と述べた。
 
Jiruth氏曰く「教育機会均等基金は助けを必要とする子どもへの支援を開始している。」
 
この基金の事務局は昨年末から基礎教育局(Office of Basic Education Commission: Obec)と緊密に連携し、家庭の経済事情で学校を中退しなければならない可能性がある学生に追加の資金を提供してきた。
 
Jiruth氏は、幼児教育法は、関連省庁がそれぞれの取り組みを統合し、確実に、幼少期から子どもに良い世話を提供するためのものである、と述べた。さらに、ICERは多くの優れた取組を行ってきたものの任期の終了までにそれらを完了することはできなかった、としつつ、「目に見える結果がすぐに表れるようになるだろう。我々は関係機関が将来、これらの取組を支援してくれることを願う。」と語った。
 
Jiruth氏はまた、一般市民も過程に関わる国の機関や組織を身近に監視することで学校改革に貢献することができると述べた。
 
2019年5月27日
 
The NATION:Ideas in place to reverse decline in Thai education
 

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
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