【ニュース・タイ】タイの教育には「長期的展望」が必要

タイの教育制度には長期ビジョンが必要であり、そのビジョンは例え政府が交代した際であっても、継続性を持ち不必要な変更は避けるべきである、と教育専門家は述べている。チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)教育学部の講師であるAthapol Anunthavorasakul氏は、タイの若い世代に将来必要となるスキルを、どのように準備するかについて、長期的な視点を持って物事を考えられるようになっていかなければならないとも述べた。

 

一方、Chaipreuk Sereerak教育審議会事務総長は、これらの未来のための政策は、内閣が最近承認した教育省の『20年教育戦略計画』に沿ったもので、なおかつ今後の政府の政策は、継続性を確保するためにこの枠組みに沿ったものでなければならないと述べた。

 

Athapol氏は、教育システムを元に戻し、国の教育政策を中断させたことと、過去18年間で21人の教育大臣が交代していることを非難している。
「これは、各大臣が平均してたった9ヶ月しか教育省で指揮を執っていないことを意味する。新しい教育大臣が任命されるとすぐに、前任の大臣が実施していたものではなく、常に自分たちが主導権を握ることだけに興味を持つ。関係者で構成される「長期教育政策委員会」の設立を提案し、この委員会は政府から独立したものであるべきだ。
過去のタイの教育政策の多くは、科学的根拠に基づく政策ではなく、単に政策立案者の経験や個人的な信念に基づいて導入されたものであった。タイには一度実施した政策やプログラムについて、それらを評価し、さらに磨きをかけるための体系的なプロセスが欠けている。したがって、国はデータと情報システムへの投資を増やし、データの収集と使用に関するより高い基準を設定し、情報共有と報告のためのプロトコルを設定する必要がある。」と述べた。

 

以下、Chaipreuk事務総長のコメント:

教育省の『20年教育戦略計画』は、政府の20年国家戦略と一致している。省庁が立ち上げたすべての政策は、“人的資本の可能性を高め、発展させるもの”、“公正を確保し、社会格差を縮小する”、“持続的に経済を強化し、競争力を高める” ものでなければならない。持続可能な開発のための『グリーン成長』を促進すべきである。繁栄と持続可能性に向けて国家発展の安定をもたらし、公共部門の管理の効率を高め、優れたガバナンスを促進する。

 

特にタイが第4次産業革命に参入している時期に、タイが長期的な教育開発の明確な方向性を持つことは重要である。
この計画の下で、教育省は教育制度改革の短期・長期目標を設定し、その目標を達成するための技術開発や資金調達など、多くの面でどのように準備をするかというアウトラインを描くことを目標としている。

 

短期目標としては、国際経営開発研究所(International Institute for Management Development:IMD)の世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)における最新の調査から、2つの点を改善することを含め、タイが実行すべきことについて、指摘している。
1つめは、全国で実施されるタイ政府の学力テスト(Ordinary National Education Test:O-Net)について、全教科において50%以上成績の平均値を上げることである。
2つめは、少なくとも中等教育レベルの労働者の割合を55.75%に増加させることである。また全国の学校の90%に高速インターネット接続を提供することも含まれている。

 

一方、長期的な目標としては、有名な進学校の学生と地方の学生との格差を縮小し、教育資源配分の公平性を改善すること、大学におけるRD(Research and Development)支出を増やすこと、全学生に占める職業訓練校生の割合を、今後20年間で現在の38:62から60:40の割合に増やすことである。

企業におけるインターンシップと職業教育を組み合わせた二重教育制度が重視されるであろうが、将来の政府においては、過去の政府が制定した古い政策を廃止し、独自の政策を定める権限を有しているため、制度が定着しない可能性がある。
少なくとも将来の政策の変更は、『20年教育戦略計画』に沿ったものでなければならない。だから状況が継続性の面で言えばより良いものになると思う。

 

2017年9月25日

 

YourThailand.Net:Thai education needs ‘long-term vision’ [Bangkok Post]

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育