アジア工科大学（Asia Institute of Technology：AIT）は大学院学生に実践的なビジネス経験、イノベーション推進および企業との共同研究を実施する場を提供するため、起業家養成センター（entrepreneurship centre）をランジットキャンパスに開設した。
AITのEden Woon学長は次のように述べた。
彼らのうち起業したいと望んでいる者はだれでもこのセンターによって教育、助言、指導および情報を得ることができる。
AITのプログラムや学位の多くは持続可能な開発や土木工学といった社会的影響力のある分野に焦点を当てており、多数の学生が関連する企業に就職している。」
2019年9月27日にオープンした起業家養成センターは、学生が別の分野から学んだことを活かし、起業やビジネス環境に適用することを認めている。また、大学の研究成果のおよそ9割は活用されずに忘れられていくが、同センターが大学と民間企業の橋渡しとなり、研究成果をよりビジネスに活かすことを目指している。
このセンターのビジネスパートナーであり、構造および地震工学ソフトウェア会社Computers and Structures, Inc（CSI）の最高経営責任者であるAshraf Habibullah氏は以下のように述べた。
CSIは20年近くAITと協力し、大学の研究を自社のソフトウェア改善に役立ててきた。そして近年AITをより起業家的かつ革新的にするために65万USDの助成金を提供している。
AITは他の大学が利用できる一般的な国の補助金を利用することができない。
Ashraf Habibullah氏は「長年にわたりよい協力関係を築いているAITだからこそ例外的にこのような大規模な助成を行った。我々はAITの能力を信じている。」と語った。
今年設立60周年を迎えたAITも他のすべての教育機関と同じ課題に直面している。すなわち、多数の職業が人工知能に取って代わられる一方で、多くの新たな職業はまだ創出されておらず、デジタル破壊された雇用市場に学生を備えさせなければならないという課題である。
AITのNaveed Anwar副学長は以下のように述べた。
イノベーションの急速な変化により、人々は大学で学んだことが時代遅れになるのではないかと恐れている。そして学び直しやスキルアップをしようとするが、将来に必要な知識・技能はまた変化している。
イノベーションにおいて最も需要の高い分野は農業技術、人工知能、ロボット工学、ドローンおよびIoTである。AITは食糧生産と廃棄物処理の観点からもっとサーキュラーエコノミーを促進し、よりよい社会をつくるために、これらの技術を統合する方法を模索している。」
Eden Woon学長は不確かな未来に対する最良のアプローチ方法は、学際的な教育を通して学生を将来に適応させ、独自の課題に取組むように準備させることであると言う。
AITはすでに地元のスタートアップ企業等との共同事業を開始しており、9月27日にはタイテクノロジースタートアップ企業協会（Thailand Tech Startup Association）との共催で“100 Innovations x Entrepreneurs”イベントを開催した。このイベントには学生、スタートアップ企業、様々な産業の起業家、開発業者、NGO、投資家およびベンチャーキャピタルが参加し、新しいイノベーションや社会的影響力のある研究と新しいビジネス・アイデアを結び付ける方法等について議論が行われた。
Anwar副学長は「このイベントは我々がタイテクノロジースタートアップ企業協会と行った最初の重要な共同事業であり、今日ここにいるすべてのパートナーは、私たちがやっていることが良い影響を与えると確信しているだろう。」と語った。
2019年10月1日
Bangkok Post：AIT opens entrepreneur center
