【ニュース・スウェーデン】留学生が厳しい在留制約に直面

Radio Sweden(SR)の報告によると、スウェーデン移民局は、スウェーデンに留学するための主な目的が勉学であることを十分に証明していないという理由で、スウェーデンの大学へ入学を許可され奨学金の受領も認められているにも拘わらず留学生の入国許可を10件以上却下した。

 

学生ビザを申請する際の志望理由書の言い回しと、海外のスウェーデン大使館で面接した際の印象を根拠に移民局が解釈し、これらの却下が行われた。
大学のウェブページを検索し、その言い回しを志望理由書に使用していることから、彼ら自身の勉学への意欲を十分に立証していないと見なされた。

 

バングラデシュのダッカにあるAmerican International University-Bangladesh大学職員であるMamunur Rashid氏と、パキスタンの学生であるNeelam Peerzada氏は、500名の応募者のうち2名のみに与えられるルンド大学記念奨学金を授与された。その額は授業料の大半をカバーできるSEK290,000(US $35,900)(約406万円*)である。彼らは、大学のウェブページを検索し調べ、志望理由書を書いたこと、また大使館での面接時にもそのことを繰り返したと述べた。その結果、移民局は、彼らのスウェーデンでの留学の動機が説得力に欠けると判断し、留学ビザの申請を却下した。

 

ルンド大学(Lund University)国際関係部の国際部長であるRichard Stenelo氏のコメント:

このことは、世界トップレベルの学生、大学院生の留学先として、諸外国がスウェーデンに抱く評判に悪影響を及ぼしている。移民局が、これらの選ばれし学生達の主な入国動機がスウェーデンで学ぶことではないと考えるならば、独自に判断するのではなく、私たちに相談するべきです。私たちは海外から優秀な学生を募るために、多くの人的資源を費やしているのです。

対する、スウェーデン移民局のJoel Martinsson氏のコメント:

私達は、留学生を却下するにあたって間違った判断をしたことを真っ先に後悔しました。大学には、その学生が入学に値するかを確かめる能力がありますが、スウェーデンに入国する動機が勉強であるかどうかを判断する権限は移民局にあります。これは法律に明示されています。

司法省の主任弁護士であるFredrik Bergman氏のコメント:

これは、移民局が規則を拡大かつ厳格に解釈した結果。

スウェーデン全国学生連盟の副会長であるCharlotta Tjärdahl氏のコメント:

学ぶ意志を持ち、入学を許可された学生は、大学で学ぶ権利があります。私たちは誰に対しても開かれた知識基盤社会の形成を望んでおり、学生を締め出すのは間違っています。

Stenelo氏は、ルンド大学は現在、スウェーデン高等教育協会と協力し、留学生への対処を改善するよう移住局を説得していると語った。

 

*円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記

 

2017年8月25日

 

University World News:International students face residency clampdown

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の多様性