【ニュース・スウェーデン】政府による宇宙研究機関への投資

スウェーデン唯一のロケット発射施設・研究機関であるEsrangeが今後も国内外の研究開発の戦略的な資源となることを期待し、スウェーデン政府及びスウェーデン宇宙公社(Swedish Space Company:SSC)は、キルナ(Kiruna)にある同機関の新しい試験施設に8,000万スウェーデンクローネ(約10億円*)を投資している。

 

現在欧州内では、再利用可能なロケットを開発し試験することはできないが、一方で、小型衛星打ち上げの市場は拡大しており、また、ロケット開発技術への需要も増大している。そのため政府とSSCは、再利用可能な小型及び大型ロケットの打ち上げ技術、環境に配慮したエンジン開発、飛行試験、衛星技術など、需要の高い技術の開発に必要な試験施設に投資している。この施設は、例えば宇宙機器の構成部品などの実証試験にも利用されるべきである。

 

「小型衛星の打ち上げは成長市場であり、新たな雇用や事業を創出する良い機会となる。現在政府は、リサイクル可能で複数回打ち上げることができるロケットに関する新技術の開発に6,000万スウェーデンクローネ(約7億円*)を投資している。」と、Mikael Damberg産業・技術革新担当大臣は述べた。
この投資は、2018年春発表された政府の宇宙戦略に沿ったもので、政府から拠出した6,000万スウェーデンクローネ(約7億円*)、及びSSCから拠出した2,000万スウェーデンクローネ(約3億円*)で構成されている。なお、施設は2019年夏の運用試験事業の開始を目指している。

 

成長著しい世界市場において、Esrangeが存在感を示すことを可能にしているキルナの恵まれた地理的条件もあり、スウェーデンの宇宙研究は傑出したものとなっている。今日の欧州における主要な宇宙関連プロジェクトの多くは、Esrangeが唯一無二の存在として貢献し得る分野のものである。
「天気予報、通信、ナビゲーションなどの衛星データを使用する機能には、宇宙研究が不可欠である。また、環境、気候、林業、農業、航行、海洋、自然災害に関する知識の獲得や行動の予測にも宇宙研究は貢献している。宇宙に投資することで、我々は世界をより詳細に理解することができる。」と、Helene Hellmark Knutsson高等教育・研究担当大臣は述べた。

 

なお、政府の資金調達はEUの国家補助に関する規定によって規制されており、この計画はEU委員会による国家予算の承認を条件としている。

 

*円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記

 

2018年7月9日

 

【出典】
Regeringskansliet(スウェーデン官公庁):Regeringen investerar i rymden-Esrange får testbädd

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 研究
社会との交流、産学官連携 産学官連携