【ニュース・イギリス】Quacquarelli Symonds社(QS)世界大学ランキング2015-2016年度版について

 2015年9月15日、Quacquarelli Symonds Ltd.(以下、「QS社」)が、“QS World University Rankings 2015-2016”(URL1)を発表した。同社は、2009年までTimes Higher Educationと提携し「Times Higher Education-QS世界大学ランキング」を編集していたが、2010年よりその協力関係を解消し、独自のランキングを発表している。
 評価指標とその割合については昨年度と同様、以下の通り。④については、今回からScopus(世界最大の論文概要と引用例のデータベース)を用いて、学問分野間でバランスの取れた相対的指標の算出を試みている。論文被引用率は理系分野で高くなる傾向にあり、人文系では著しく低い。よって、生命科学や自然科学などの分野に強い大学に有利となってしまうのを避けるため、被引用数の単純な合計に代えて、分野ごとの平均を考慮して標準化した数値を用いている。また、この処理から生じる言語的バイアスについても調整している(URL2)。

① 学術面での評価(40%)
② 卒業生の雇用主による評価(10%)
③ 学生一人当たりの教員数(20%)
④ 教員一人当たりの論文被引用数(20%)
⑤ 外国人教員比率(5%)
⑥ 留学生比率(5%)

 同ランキングは、世界中の3,000以上の大学を調査、うち合計800大学の評価をまとめたものであり、さらにそのうち上位400大学について、個別順位、総合評価に加え、分野別や評価基準別の順位、学部・大学院(国内生・国外生向け)の年間授業料(全てドル単位)を掲載している。401位以下については10大学ずつ(401-410、411-420・・・500位まで)、501位以下は50大学ずつ(501-550、551-600・・・800位まで)まとめて発表されている。
 総合評価においては、昨年と変わらず米国大学の優位が目立ち、同国のマサチューセッツ工科大学が4年連続1位に選出、昨年より1大学減の5大学が上位10位以内に、昨年より2大学増の30大学が100位以内を占める結果となった。一方、英国の大学はそれぞれ少しずつ順位を落としているものの、昨年と同数の4大学が10位以内に、昨年より1大学減の18大学が100位以内に選ばれた。また、スイスのチューリッヒ工科大学が、米英以外の国からはじめて上位10位入りを果たした。
 アジアの大学では、シンガポール国立大学が12位(昨年22位)に躍進して最高位であった。中国の清華(Tsinghua)大学と北京大学、香港の香港科学技術大学、韓国のKAISTも順位を上げている。400位以内のアジアの大学数では、中国が2012年度の9大学から毎年順調に数を増やしていたが、今回15大学となり、ついに日本(14大学)を抜いて首位に躍り出た。
 日本の大学では、京都大学が38位(昨年36位)で、はじめて東京大学以外が首位となった。東京大学は僅差の39位(昨年31位)。日本の大学は、東京工業大学(56位、昨年68位)を除き、軒並み順位を落とした。以下、200位以内の日本の大学は、大阪大学が58位(昨年55位)、東北大学が74位(昨年71位)、名古屋大学が120位(昨年103位)、北海道大学が139位(昨年135位)、九州大学が142位(昨年126位)と合計8大学で、昨年より2大学減。100位以内には昨年と同じく5大学が入った。

なお、「【表1】総合上位10位と、50位以内に入ったアジアの大学、及び200位以内に入った日本の大学のランキング」、「【表2】国・地域別(世界) 上位400位入り大学数/上位20カ国とその変遷」及び「【表3】国・地域別(アジア) 上位400位入り大学数/変遷」は以下の「URL3」を参照。

URL1: http://www.topuniversities.com/qs-world-university-rankings
URL2: http://www.iu.qs.com/2015/07/potential-refinements-in-the-qs-world-university-rankings-2015/
URL3: http://www-overseas-news.jsps.go.jp/pdf/kaigainews/201510_lon01.pdf

地域 西欧、その他
イギリス、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
統計、データ 統計・データ