【ニュース・イギリス】2016学事年度における高等教育機関の授業料設定状況- Office for Fair Access(OFFA)による”Access Agreement”の承認

 2015年7月16日、Office for Fair Access(OFFA)(※高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関)は、英国の高等教育機関(大学、継続カレッジ等)183校の2016学事年度(以下「年度」)における“Access Agreement”を承認したと発表した。
 英国では、授業料の値上げが実施された2012年度より、基本授業料£6,000を超える授業料を課す高等教育機関は、貧困等社会的に不利な背景を持つ若者の高等教育への参加機会拡大への取組・予算配分についてOFFAと合意(Access Agreement)を結ぶことが義務付けられている。
2016年度における高等教育機関の授業料設定状況については以下の通り(【 】内は2015年度の状況)。

・平均授業料:£8,781【£8,716(0.7%増)】
・授業料免除分を考慮した場合の平均授業料:£8,744【£8,649(1.1%増)】
・奨学金を含むすべての経済的支援分を除いた場合の平均授業料:£8,391【£8,290(1.2%増)】
・全コースにおいて£9,000の授業料を設定する機関:47校(全体の26%)【44校(全体の25%)】
・数コースもしくは全コースにおいて£9,000の授業料を設定する機関:139校(全体の76%)【130校(全体の76%)】

 先だって政府が発表した、「貧困等社会的に不利な背景出身者の高等教育参加率を2020年までに2009年の2倍に引き上げる」という指針(※)に応じ、OFFAは高等教育機関に対し、2016年度Access Agreementで2020年を目処として目標を刷新するよう求めた(目標刷新は2011年以来)。
 目標設定の状況は以下のとおり。

・全ての高等教育機関が各々の学生数の規模に応じた目標を設定。
・全体の約75%の機関が学業継続率向上を目標として掲げ、約15%が学生の卒業後の進路に関するサポートを強化するという目標を設定。
 また、多くの目標が特定の社会的に不利な背景を持つ学生に焦点を当てている。例えば、
・20%以上の機関が、保護施設で育った者の高等教育進学ならびに学業継続促進を目指している。
・約40%が、特定の人種・民族集団に関して目標を設定(これには、集団間の成績の差の是正も含まれる)。
・約33%が身体に障害を持つ学生に関連した目標を設定。

【予算配分】
 全体で£7億5,080万の予算配分となっている。内訳は以下の通り。
・高等教育参加機会拡大活動に£1億4,930万(初期段階で学習者の問題を認識し、やる気や成績の向上を促すような長期持続的なアウトリーチ活動を含む)。
・学生の学業支援に£1億4,800万。例えば、ある特定集団の学生を対象に絞ってデザインされた導入プログラムなど。
・卒業後の進路について、学生が十分な準備をできるようにする活動に£5,460万。
・授業料免除・奨学金・困窮基金(所属高等教育機関から支給される、経済的困窮者のための支援の一種)などの経済的支援に£3億9,900万。

URL1: https://www.gov.uk/government/speeches/teaching-at-the-heart-of-the-system
URL2: https://www.offa.org.uk/press-releases/access-agreement-decisions-for-2016-17-universities-set-themselves-stretching-new-targets/
URL3: https://www.offa.org.uk/wp-content/uploads/2015/07/Access-agreements-for-2016-17-key-statistics-and-analysis.pdf

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