【ニュース・イギリス】2015学事年度の大学入学者数が記録的数字に

2015年12月16日、大学入試機関(UCAS: Universities and College Admissions Services ※高等教育機関への願書を受付・処理する機関)は、2015学事年度(以下「年度」)の大学入学者に関する最終報告書(UCAS’End of Cycle Report)を発表した。

(全体)

2015年度に英国(統計上、スコットランドは除く)の高等教育機関に入学した者は53万2,300人で、前年度と比較して1万6,100人(3.1%)増加した。そのうち、英国出身者が最も多く、46万3,700(前年度比2.8%増)人と過去最多であった。

英国を除くEU圏出身者は29,300人(同11%増)、EU外出身者は39,000人(同1.9%増)となった。

イングランドの若年層の高等教育進学率は3%上昇し、18歳人口が前年度より2%増加したことと併せて、入学者数は前年度比5%増の23万5,400人となった。のべ合格者数は過去最多の190万人となり、同じく過去最多の38万4,100人が第一志望の大学に入学した(出願者総数は71万8,500人)。合格率は74.1%(前年度比0.9%増)で、英国出身者では全ての年齢層で上昇している。

(地域)

イングランドの高等教育機関の在籍者総数は、大幅に増加し、ウェールズにおいてはほぼ横ばいである。

北アイルランドでは入学者が約1,000人減少した。

(男女)

18歳女性の入学率の伸びは、18歳男性の2倍に達した。以前から見られた男女間格差は是正されず、女性の入学率は男性よりも35%高く、過去最大の差となっている。

(出身階層)

貧困等最も社会的に不利な背景を持つ層から高等教育機関(高額の授業料を課す大学を含む)に入学する者は、イングランドで過去最多となった。北アイルランドとウェールズにおける18歳の不利な背景を持つ層出身者の入学率は、前年度と同程度もしくは若干低下した。

イングランドにおける社会的に最も不利な背景を持つ層出身者の入学率は2006年と比較して65%増と著しい飛躍を見せている。また、社会的に最も有利な背景を持つ層出身者との差は、高額の授業料を課す大学への入学者数に関して8.5倍あったが、その差は2015年には6.3倍まで縮まっている。

(人種・民族)

イングランドの公立学校出身の若年層の進学率は、アジア系41%、黒人37%、混血32%、中国系58%と比較して、白人が28%と最も低かった。

白人の進学率の伸びは、2006年度と比較して0.6%増と、他の人種・民族より小さく、白人と他の人種・民族間の差は拡大している。

 

大学入試機関(UCAS: Universities & College Admissions Services

 

【他機関の反応】 

 

・OFFA(高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関)

社会的に不利な背景を持つ層からの入学者の増加傾向を歓迎するも、増加率の鈍化を懸念。2020年までにこの層からの進学率を2009年時の2倍にするという政府目標に向けて一層邁進したいと述べる。

・Russell Group(英国の大規模研究型大学24校で構成するグループ)

高額の授業料を懸念してRussell Group所属大学を敬遠する層に対して、同グループの提供する課程が雇用主に高く評価されている点を強調し、投資に対する見返りが十分あると述べる。

地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 入試・学生募集、学生の多様性
統計、データ 統計・データ