【ニュース・イギリス】2006~2013学事年度の高等教育参加率に関する統計

 2015年9月2日、ビジネス・イノベーション・技能省(BIS:Department for Business, Innovation and Skills)が2006~2013学事年度(以下「年度」)の高等教育参加率に関する統計(URL1)を発表した。この統計は、17歳~30歳のイングランド在住者を対象としており、英国の高等教育機関およびイングランド・ウェールズ・スコットランドの継続教育カレッジの入学率(二度目以降の入学は除く)に関するものである。

【ポイント】
・高等教育参加率は2013年度で47%を記録した。2011年度までは順調に増えていたが、学費上限値上げの影響を著しく受けたと見られる2012年度(42.8%)は、2006年度(42.2%)に近い数字まで落ち込んだ(「URL2」の「図1:年齢別高等教育参加率 2006学事年度~2013学事年度」を参照)。
・学生の性別に関しては、2012年度と2013年度を比較すると、男性は39%→42%、女性は47%→51%と共に増えており、2013年度の男女差は9.1%と、前年度より0.4%拡大している。
・パートタイムの学生数が学費上限値上げ後の2012年度に著しく落ち込んでいる。近年の減少は、パートタイム学生の多数を占める女性の参加率の低下に起因している。

【傾向】
・17歳~30歳の入学者の中では、18歳で入学する者が最も多い(「URL2」の「図1:年齢別高等教育参加率 2006学事年度~2013学事年度」を参照)。
・18歳人口が2006年度以降微増減している中、18歳の高等教育参加率は、2012年度を除けば、一貫して増 加傾向にある(「URL2」の「図2:2006学事年度からの18歳人口変遷と18歳人口の高等教育参加率」を参照)。
・19歳時点の入学者については、学費上限値上げ直後の高等教育参加率の低下が18歳よりも著しく、2006年度の参加率を0とした参加率の伸びが、2011年度には35%に達したが、2012年度には1%まで下がった。
 しかしその後、2013年度には25%まで回復している(「URL2」の「図3:2006学事年度からの18歳人口参加率と19歳人口参加率」を参照)。
・2013年度の高等教育参加率(47%)は学費値上げ前の2010年度の水準(46%)を上回ったが、実際の入学者数は323,000人(2010年度)から314,000人(2013年度)に減少している。これは中核となる18歳と19歳の人口が減少したためである。

【他機関の反応】
・OFFA(高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関)
 2015年度も参加率は上昇しており、本統計と併せて喜ばしい結果であるが、社会的に不利な背景を持つ層からの参加が多いパートタイム学生の減少率が止まらないなど、依然として懸念事項もあるため、関係機関は全力で取り組む必要がある。

URL1: https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/458034/HEIPR_PUBLICATION_2013-14.pdf
URL2: http://www-overseas-news.jsps.go.jp/pdf/kaigainews/201510_lon05.pdf
URL3: https://www.offa.org.uk/press-releases/higher-education-initial-participation-rate-offa-comment-2/

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
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統計、データ 統計・データ