【ニュース・イギリス】2年連続で、所属する学位課程に対価を払う価値があったとする学生増加

 
2019年6月13日、高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute:HEPI)とAdvance HEは14,000名を超える学部学生対象に2019年のStudent Academic Experience Survey(SAES:学生学術経験調査)を行い、所属する学位に対して対価を払う価値があったとする学生の割合増加を示していることがわかった。
 
SAESの要点は以下のとおり。

  • 学生の41%は、所属課程に対して「良い」もしくは「とても良い」との評価をしている。この数字は、2年連続で3%上昇している。29%の学生は、「悪い」「とても悪い」と評価しており、この数字は、昨年と比較して3%、2017年と比較して5%低下している。
  • 学位に対する対価を重要視する割合は、学生の特性によって異なる。スコットランドの学生は、肯定的な回答の割合が比較的高く、63%だったが、EU以外の留学生は比較的低く、37%だった。最近変更されたウェールズ出身の学生向けの奨学金の変更は、まだ影響が出ていない。
  • 教育の質は、肯定的回答をした64%の学生にとって重要な要素となっている。また、授業料は、否定的な回答をした62%の学生にとっての重要な要素である。
  • 期待していたよりも良い経験をしていると答えた学生のうち、59%が「適切なレベルのチャレンジ」を重要な要素として回答している。一方、期待していたよりも悪いと回答した内の約35%が自らの努力が足りていないことを自ら感じている。このことは、BME(Black and Minority Ethnic:黒人及び少数民族グループ)の学生では42%まで上昇する。
  • 新しく加わった質問では、大多数の学生が、大学に対して「非常に準備できている」(16%)、「少し準備できている」(44%)と回答したのに対し、25%以下の学生が、「少ししか準備できていない」(14%)、「非常に準備できていない」(9%)と回答したことだ。
  • 3分の2の学生(64%)が、もう一度大学選択することがあれば、同じ大学、同じ課程を選ぶと回答している。4%のみ、「技術見習生制度」を選択し、大学に進学せずに「就職する」を選択したのはさらに少数(3%)で、大学に進学せずに「他の何かをする」と選択したのは2%であった。
  • 近年、授業時間と勉強量の平均について小さな変化があった。2015年以降、一人での学習時間が週15.2時間から13.8時間に減少し、時間割に基づく授業時間が13.4時間から13.9時間に増えた。
  • この調査や他の調査からのフィードバックに対する学生の満足度が低いので、2019年度の調査では、それがどのようにすれば改善されるかを新たな質問で問いかけた。63%の学生に支持されたもっとも人気のある選択肢は、「その点数がなぜ与えられたのかについてのより詳細」であった。
  • 学生は、他の若者よりもはるかに不安を感じている。20-24歳の全若者の37%と比較すると、学生の16%のみこの調査において「不安は少ない」と回答していない。
  • 学生の両親または保護者に対するメンタルヘルスに関する問題を開示することに関する新たな質問では、高いレベルでの支援が必要なことが判明した。3分の2の学生(66%)は、「特別な状況下」での開示を支持し、さらに15%の学生は、「いかなる状況下」でも開示を支持している。
  • 調査結果は、学生が学部生の授業にかかる費用に対して納税者からのさらなる支援を欲していると結論付けている。22%の学生は、政府が全費用を負担すべきだと回答し、43%の学生は、政府は半額以上を負担すべきだと回答している。このことは、最新の『Review of Post-18 Education and Funding(the Augar report)』での納税者が半額負担すべきとの結論と異なる。
  • 初めて、学生は2年間の学位について問われた。4割以上の学生が「非常に良い」(19%)、「良い」(24%)と回答した一方で、3割の学生は「良くない」(19%)、「非常に悪い」(10%)と回答し、残りは「どちらでもない」(24%)と「分からない」(4%)と回答した。

 
2019年6月13日
 
HEPI:Second consecutive year of students reporting better value for money
 

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