2019年11月5日、学生局(OfS)は、新たな分析として、最新の学生実態概要報告書“Are all students being properly supported?”を発表した。
メンタルヘルスの病気を報告する学生は、メンタルヘルスの病気と診断されない学生と比較して、高等教育を中退する可能性が高く、専門的な仕事
や更なる研究に進まず、優秀学位の成績で卒業する可能性が低い、とOfSの新たな報告書は示している。
この新しい報告書“Are all students being properly supported? ”は、メンタルヘルスの病気を報告する学生とそうでない学生の相違に注目し、
民族性や社会的に恵まれない環境などの要因がその相違にどのように影響するかを示している。
2016/2017学事年度のOfSの調査によると、全学 生のうち、1年目以降も学業を継続させた割合は90%なのに対し、メンタルヘルスの病気を報告
した学生の場合は87%であった。また全学生のうち73%が熟練職や高等教育以上の教育に進んだが、メンタルヘルスの病気を報告した学生の場合は
69%であった。2017/2018学事年度ではメンタルヘルスを報告した学生は、優秀な成績で卒業をする可能性が低かったことを報告している。
報告書のその他の内容は以下の通り:
パートタイムの学生*の間では、もっとも恵まれない環境出身者がメンタルヘルスの病気であることを報告する傾向が最も高く、裕福層では
その傾向が低い。
メンタルヘルスの病気を報告する黒人の学生は、勉学を継続する割合やその成績が相対的に一番低かった。2017/2018学事年度では
メンタルヘルスに問題のある学生が優秀な成績を収めた割合は、学生全体では77%で、黒人学生では53%であった。2016/2017学事年度で
メンタルヘルスを訴えた学生全体のうち、87%が1年目の学業を継続させたが、黒人学生では77%であった。
全体として、メンタルヘルスの病気を報告するイングランドのフルタイム学生の割合は、最近5年間で2倍以上に増加した。
2012/2013学事年度では1.4%だったが、2017/2018学事年度では3.5%まで増えている。女子学生は、男子学生よりもメンタルヘルス
の病気を報告する傾向が2倍以上高かった。2017/2018学事年度では、男子学生の2%と比較して、女子学生の4.7%がメンタルヘルス
の病気を報告した。
ただし、これらの数字は過小評価されている可能性がある。メンタルヘルスの病気を報告する学生は、一般的に高等教育への入学時にだけ
報告し、メンタルヘルスの問題に関する偏見は、一部の学生が報告するのを妨げる可能性がある。
*パートタイムの学生:
働きながら通学したり、必要な教科だけ履修する学生のこと。通常、1学期につき取得単位数が12単位に満たない場合、パートタイムの学生
とみなされる。
<<出典>>
Office for Students: Mental health conditions compound equality gaps in higher education