2018年3月15日、高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)は、今後10年間の英国の高等教育機関の定員に対する需要に目を向けた新しい報告書を発表した。
Bahram Bekhradnia氏とDiana Beech博士が著した報告書“Demand for Higher Education to 2030”は、高等教育への需要についてのHEPIの長い研究の歴史に基づくものだが、同様の報告としては7年ぶりになる。
報告書は、主要な政策変更、人口統計及び入学基準の進学率への影響を調査したものである。
報告書は以下の事柄を示している:
- イングランドの18歳人口は2030年までに23%増加する
- 人口のみを要因とし、進学率の上昇を考慮しなければ、2030年までに高等教育機関のフルタイムの定員についての需要は現在より50,000人分増加する
- もし進学率が今後12年間に上昇するか、過去15年間の平均増加率と同じであれば、2030年までに高等教育機関のフルタイムの定員について35万人分の需要増加が見込みうる
- 英国のEU離脱を含んだ、需要減に繋がりうる要因での相殺としては、約56,000人分の需要減少が見込まれる
- そのため、10年後に最も可能性の高い結果は、30万人分のフルタイム定員需要の純増である
- この期間を通じて、男性の進学率が女性並みの水準に向上した場合には、さらなる高等教育定員への需要増がありうる。もっとも、我々(HEPI)は予見可能な範囲においてそうしたことが生じるとは予測していないが、仮にそうなった場合、フルタイムの定員への需要は50万人以上となると見込まれる
2016/2017学事年度、イングランドではフルタイムの初年度学生が120万人おり、約33万人分に及ぶ追加定員の需要は、25%の増加に相当する。
新しい合格者(わずかな例外を除く)は、政府の補助する学生ローンの需要増加を意味するという事実を考えれば、現在の財政モデルの下では、学生の採用定員を設けないという政策がどれだけ継続しうるのかを推し量るのは困難である。学生が抱える山のような負債について拡大している懸念と、未来の卒業生の負担を軽減したいという願いを前提にすれば、この報告書は18歳以降の高等教育の見直しを行っている委員会に対して課題を提示していることになる。