【ニュース・イギリス】英国研究大臣、「REFの評価は、多様かつ創造的でリスクを負うような取組をする動機付けにならなければならない。」

 
 2020年10月20 日、 University businessは、Amanda Sollway研究大臣が、研究評価制度(REF)の徹底的な見直しを図ることを発表した
ことを報道した。

 
 Solloway研究大臣は、REFを再構築するという英国全体にわたる改革案について、権限が委譲されたウェールズ、スコットランド及び北アイルランドの研究資金配分機関と共に作業に着手するようにリサーチイングランド(RE)に指示を出した。これは直近の2021年の評価が終わった後に行われる。

 
 REFは、年間ほぼ20億ポンドの研究資金を分配するための評価制度であり、その基準は研究者による評価や研究のアウトプットである。

 
高等教育政策研究所(HEPI)の英国研究政策に関するイベントで、Solloway研究大臣は当該見直し目標の要点について、「新たなシステムは、研究に“より質の高い時間”を作りだし、“すべての貢献を評価”する文化を構築し、公的資金について、“官僚的な煩雑な手続きなしで、明確な責任”を提供し、
そして研究者に“多様かつ創造的でリスクを負うような取組”をする動機を与えなければならない。」と述べた。

 
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は今年、研究開発のロードマップを発表した。Solloway研究大臣は、これにより国際的な科学超大国になる道に英国を位置づけたとした。また、同大臣は、大学がREFをコストと複雑さの増大を伴うものに変えてしまったため、取組の障害になっている
と特定した。

 
 「いくつかの分野では成功しているものの、REFは“成果の上がらない行動”を奨励していた。現在英国において、学術界の中でREFの影響を受けない
ところはほとんどない。リスク回避型の手法で実行されているREFのルールセットは、多くの大学のリーダーが、組織改革を行う初期設定のツールに
なってしまっている。しかし、このリスク回避型のコンプライアンス文化は、創造性と多様性をあえて押さえ込むリスクがある。実に、調査対象
となった10人中4人の研究者が、職場は研究の質よりも基準の方をより重視していると考えている。2016年のREFの評価は、組織的なゲームプレーと
個々の研究者の行動への後ろ向きな影響について、重要な削減をする手助けをした。しかし十分ではない。私の考えでは、私たちが見ることが
できない、考えることができないものはない。 」とSolloway研究大臣は述べた。

 
 Solloway研究大臣は、自身が述べた批判に関わらず、「現在のREFの重要な評価過程を邪魔するつもりはない。」と付け加えた。

 
 また、REFの評価基準の1つの重要な側面に言及し、「公表される業績に焦点を合わせることは、研究の価値を完全に捻じ曲げ、過程と結果
を混同させた。研究からもたらされる豊富かつ多様なアウトプットがあるにも関わらず、2014年のREFに提出された97%以上のアウトプットは
テキストベースであった。研究者は私に、同僚を尊重するために特定の場に発表することにプレッシャーを感じていると述べたが、それは研究者が
何かを発表する場所は、当該研究者が述べている内容よりも重要だという間違った示唆をする。」と述べた。

 
 Solloway研究大臣は 、“責任ある基準”の開発に係る英国の取組を議論するため、グローバル・リサーチ・カウンシル(※)の仮想のイベント
のパートナーになっているオランダと南アフリカを含む世界中の科学大臣に書簡を送付した。

 
 さらにSolloway研究大臣は、「デュアルファンディングシステムは、守られるべき英国の研究政策の重要な戦略的優位性であった。英国の
高等教育部門は、研究に利益を投じるための留学生の授業料への依存を終わらせることに目を向けるべきである。」とし、さらに政府がSTEM研究
のことばかり考えているという懸念を払拭し、「政府の科学超大国になるという野望により、それが研究を全体的に考えることの妨げになること
はない。」と付け加えた。

 
グローバル・リサーチ・カウンシル(GRC):
 
 さらなる国際共同研究への道筋を探ることや国際研究協力を促進するための共通原則の確認等を目的とした世界各国の学術振興機関の長による
フォーラムであり、2012年5月に米国科学財団(NSF)の提唱によりワシントンDCで設立された。


University Business: REF review must motivate ‘diverse, creative and risk-taking work’ – Solloway

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イギリス
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